盲導犬が独り立ちして盲導犬ユーザーと共に暮らし始めるまで、4週間も共同訓練をすることを知っていましたか?
盲導犬は視覚障がい者の生活を支え導き、助け合う象徴的な存在として知られています。しかし具体的にどこで生まれてどのような生涯を生きるのか、詳しく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

■盲導犬ユーザーのもとに行くまで(生後~訓練期)

盲導犬の生涯は、繁殖犬飼育ボランティアさんの家で幕を開けます。生まれてからおよそ二か月間、盲導犬の卵たちは他の兄弟犬や人間社会との関わりの中ですくすくと育ち、集団の中での遊び方や振る舞い方を学んでいきます。この時期にボランティアさんの愛情を一身に受け、人間と関わることの楽しさも同時に学んでいます。これが、盲導犬として活躍するために最も重要で根本的な基礎となるのです。

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同じ環境にいる人間が違う性格を持ち得るように、犬の場合も性格には遺伝的要因が大きく、実際に盲導犬としての資質が認められる犬は、全体の3、4割程度と言われています。選ばれた盲導犬候補たちは、実際に訓練を受け始めます。訓練と聞くと非常に厳しいものを想像している方もいらっしゃるかと思いますが、実際には犬のやる気をうまく引き出して能動的に学ぶことができるよう設計されたもののようです。
例えば、「Sit(お座り)」「Wait (マテ)」「Down (フセ)」などの基本的なしつけから始まり、できたらすかさずGood!と褒めてあげる、といった形で強化学習がなされます。その後訓練の最終段階まで進むと担当の指導員のもとを離れ、アイマスクをした人間を実際に誘導する最終チェックが行われ、健康状態とも照らし合わせて盲導犬候補が最終的に選ばれます。

選ばれた盲導犬たちはユーザー候補と共に約4週間の共同訓練を行い、どの盲導犬と生活をするか決めるためのマッチングが行われます。ようやく、晴れてデビューとなるのです。

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■現役の盲導犬として(3〜10歳)

4週間の共同訓練と歩行指導員による数日間の指導を経て、10歳の誕生日まで約8年間の共同生活が始まります。その間、盲導犬ユーザーの目として足として、また何より唯一無二のパートナーとして二人三脚で活躍することになります。交差点や段差を知らせる、障害物を回避するなどの基本的な動作に加えて、信号が赤の時にユーザーから指示があっても発信しないよう、ライフキーパーとしての役割も求められています。

また、ユーザーとの関係だけではなく他の家族や友人との交わりもあり、まさに家族の一員として生活を続けていきます。命を預けるほどの強い信頼関係は、このように長い時間を共有することから段々と育まれていくといえるでしょう。3歳から7歳が盲導犬としてのキャリアのピークと言われていますが、8歳のころになると熟練の域に達しユーザーとの息もぴったり合ってきます。

その時期が過ぎた後、盲導犬はどのような生涯を送るのでしょうか?

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■リタイア後の生活(10歳以降)

盲導犬ユーザーのもとで10歳ごろまで共に暮らした後、元気なうちに引退させ、リタイア犬ボランティアの家庭に引き取られます。

犬の10歳と言えば人間でいう60歳前後。まだまだ走り回れるくらい元気な犬が多いのになぜ無理矢理引退させるのか、と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際、最期まで共に過ごしたいと願うユーザーの方々も多いようです。しかし、加齢に伴う判断力の低下や運動機能の低下はどうしてもやって来るもので、ユーザーの方は最終的に他の盲導犬に頼らざるを得なくなります。
他の犬に仕事を奪われるという経験は盲導犬にとっても非常に辛いものであるため、元気なうちに引退させて余生をリタイア犬ボランティアの家庭で過ごすということが一般的です。したがって人間の都合というよりもむしろ、盲導犬の幸せを考えた上での引退ということのようです。ユーザーの方も、リタイア後に違う過程で穏やかな余生が待っていることを考えると、安心して預けられるというものでしょう。
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