街で見かける盲導犬。彼らは、生後間もない頃から、訓練を受け、試験を経て、盲導犬として活躍しています。任務期間は、10歳前後。その歳を迎えると、盲導犬を引退をします。その後、彼らがどこにいくのでしょうか?実は、任務を終えた盲導犬と一緒に暮らす家族がいることを、ご存知でしょうか?今回は、盲導犬が引退した後に、共に生活をすることになる新しい家族、「引退犬飼育ボランティア」という存在について、お伝えします。
引退犬飼育ボランティアとは?
盲導犬は任務を終え、引退すると一般的な家庭犬として余生を過ごします。そこで、彼らを引き取り、新しい家族として生活を共にするのが「引退犬飼育ボランティア」と呼ばれる人々です。この引退犬飼育ボランティアは、盲導犬が所属する協会が規定する基本条件をクリアした家庭でなければ、なることができません。そうすることで、盲導犬が安心して余生を過ごすことができ、また、盲導犬ユーザーも引退犬の心配をせずに、新しい盲導犬と生活をすることができます。引退犬ボランティアになるためには、大きく分けて2つの条件を満たす家庭であることが求められます。
ボランティアの条件①室内飼育
1つが室内での飼育が可能であること。盲導犬は小さい頃から室内で飼育・訓練を受けて育っているため室内で人と生活することに慣れています。そのため、引退後、急に屋外で飼われることになると、環境の変化に馴染めず、大きなストレスを抱える可能性があります。そのため、室内での飼育が可能という条件を満たす必要があります。
ボランティアの条件②在宅時間の長さ
2つめは、家を留守にする時間が短いこと。引退犬は、盲導犬時代に、飼い主のすぐ側で過ごす時間が長く、家族と一緒にいることで安心感を感じます。そのため、単身者や家を半日以上、留守にすることの多い家庭は、引退犬が安心して過ごせる環境とは言えません。できるだけ多くの時間を家族と過ごせる環境こそ、リラックスして余生を過ごすことができるのです。
引退犬飼育ボランティアになるためには?
上記の条件はあるものの、引退後の盲導犬を引き取りたい場合、ボランティアになるために特別な資格などは必要ありません。引退犬は、常にいるとは限りませんが、地区別に引退犬飼育ボランティアの募集がある際に、自由に応募することができます。
手順としては、盲導犬の所属する協会に、引退犬飼育ボランティアの登録用紙を送り、協会から引退犬委託の連絡が来た際に、引退犬との面会を経て、協会と飼育委託契約を結ぶことになります。引退犬の受け入れ予定の家庭に、すでにペットがいる場合、特に重要なのが、ペットとの相性です。条件のみで、引退後の引受先が決まるわけではなく、実際に、面会をして家族や先住ペットとの相性を確認がありますが、そのおかげで、ミスマッチを防ぐことにつながり、引退犬も安心して新しい家族の一員になることができます。
引退後を支える、というサポートの形
現在、日本では約3000人の人が盲導犬を必要としているのをご存知ですか?そして、盲導犬の育成費用、訓練費などの約9割が、協会への寄付金で賄われています。盲導犬と盲導犬ユーザーの生活を持続させていくには、様々なボランティア、協会への支援金など、私たち一般市民からのサポートも必須です。ボランティアになる条件を満たしていなかったとしても、個人で募金をしてみるなど、小さなことでも彼らのサポートをしていきたいものですね。