香水が好きで様々な香りを試してみるという方もいるかもしれません。しかし、愛犬がその香りによって、辛い思いをしていると考えたことはあるでしょうか。犬は人間よりも嗅覚がとても優れた生き物ですから、自然界にはない人工的な香りである香水を使う場合には十分注意が必要なのです。
優れた嗅覚を持っているからこそ、香水の匂いが苦手
よく知られたことではありますが、犬の嗅覚は、人間の何倍ともいわれています。実は、汗のにおいを感知する嗅覚は、100万から1億倍とも言われています。もちろん、犬種による違いや個体差はありますが、鼻の中にあるにおいを感知する部分がとても広く、そこにある嗅細胞の数は人間の20~50倍以上とも言われています。
優れた嗅覚だからこそ、人工的な香水のにおいを嫌がる犬も多いものです。嗅覚がよいからと言って、人間よりもにおいを強く感じるのではなく、犬はごくわずかなにおいに対してもとても敏感で、かぎ分ける力が非常に強いのです。一般的に、汗や動物の発するにおいなど、生きる上で重要な自然界のにおいには敏感ですが、人工的なにおいである化学物質には若干反応が弱くなります。それでも、人間よりもはるかに苦手な香りがたくさんあるのです。
香水を普段からつけていても、特に犬が嫌がる様子がなければ、そのにおいが嫌いというわけではないでしょう。飼い主さんの香りとして、お部屋全体がそのにおいになっていることもありますので、特に気にすることもないのです。しかし、犬が離れていく、近づいてこないなど、嫌がる様子があれば、その香水は使わないほうがよいでしょう。
香水以外の苦手なにおいとは?
犬には香水の他にも苦手なにおいが実は多く存在します。香水と同じように人工的な香りであるヘアコロンや柔軟剤、化粧品やマニキュアなどのにおいも嫌います。また、いい香りだからといって人間用のシャンプーを犬に使おうとする方もいますが、においばかりでなく皮膚への刺激も強いため、必ず犬専用のものを使うようにしましょう。
犬が苦手なにおいとして柑橘系のにおいがあります。普段使っている香水のにおいは平気でも、柑橘系の香水にしたら嫌がってしまったという方もいるかもしれません。犬にとって、酸っぱいにおいが刺激となり、中には腐ったにおいとして感じ取ってしまう犬もいるようです。芳香剤などには柑橘系のにおいも多いため、注意したほうがよいでしょう。
刺激のある匂い
消臭剤としても使用されるミントはもちろんのこと、料理のスパイスとして使うコショウや唐辛子などの香辛料のにおいも、犬にとっては刺激が強く、鼻がヒリヒリと痛くなったりするので嫌がることも多いです。また、普段は家族にベッタリな犬でも、ミントの歯磨き粉でハミガキをしている時は離れてしまうこともあります。
好きな香りもある
犬にとって、飼い主さんのにおいは安心できるにおいです。飼い主さんが着ていたセーターに顔をうずめて寝ている愛犬がいたり、飼い主さんのにおいがする毛布を敷いてあげると安心して眠るということもあります。香水も、きついと感じないほどにつけていれば、普段の香りとして犬が受け入れてくれることも多く、犬の反応を見ながら決めていくこともひとつでしょう。
犬は本来、自然界の香りを好み、敏感に嗅ぎとりますが、人工的な香りはあまり好きではありません。そういった面からも、天然の精油を使ったアロマテラピーの香りは自然な香りで好きな犬も多いものです。
しかし、愛犬の体のためにも、アロマテラピーで精油を使う場合は、原料をしっかりチェックして、自然のものから抽出されたものを使うようにしましょう。犬が苦手な香りと好きな香りには、個体差があるものです。愛犬の様子を見ながら、どんな香りが苦手なのかを知り、ストレスを与えないように注意しましょう。
まとめ
人間よりもはるかに嗅覚が優れた犬は、ごくわずかな香りでも敏感にかぎ分けるため、香水を苦手な香りとして感じることがあります。さらに、香りの種類によっては、近づきたくないにおいと感じることもあります。香水を使用する場合には、犬の様子をよく見て、愛犬がストレスを感じていないか、体調不良を起こしていないか、十分注意するようにしましょう。