私たち人間とは違い、猫は言葉をしゃべれません。言葉の代わりに仕草で気持ちを表現しています。猫の気持ちを読み取るには、仕草や行動をよく観察することが大切。ここでは、猫がリラックスしている時に見せる仕草について解説します。
“フミフミ”をする
愛猫が毛布や布団の上で前足を踏みしめるような動作をする“フミフミ”。猫好きの間でも人気の高い、このかわいらしい仕草は、赤ちゃん時代の名残の動作だと言われています。
子猫は、前足で母猫のおっぱいを揉みながら母乳を飲む習性があります。その頃の心地良さや安心感を思い出すのか、多くの猫が大人になってもこの“フミフミ”をします。
毛布や布団など柔らかくて肌触りの良いものに触れた時、飼い主さんの体の上に乗った時など、まさにリラックスしている時に行うことが多いようです。
飼い主にかわいがられ、安心できる環境で食べ物にも困らない飼い猫は、いつまでも幼児性を失わないと言われています。“フミフミ”は、そんな飼い猫が子猫に戻った気分になって甘える、非常にリラックスした状態なのです。
香箱座りをする
猫が前足を折りたたんで体の下にしまう姿勢を「香箱座り」と呼びます。その姿が香木や香料をしまう「香箱」に似ていることから、こう名付けられました。
前足を折りたたむと即座に次の動作に移れないため、香箱座りはリラックスしている時にしか見せません。この姿の時の猫は目を閉じているか半開きにして、耳も自然に立ててくつろいでいるはずです。
喉をゴロゴロ鳴らす
猫と言えばゴロゴロ鳴き。通常の鳴き声とは異なり、喉の奥でゴロゴロと音を鳴らしているように聞こえますが、どうやって発声しているのかは詳しくは分かっていません。
ちょっと謎めいた仕組みのゴロゴロ鳴きですが、多くは猫の気分が良い時に発せられます。顎の下や背中など猫が喜ぶ体の部位を撫でてあげると、気持ち良さそうにゴロゴロと鳴き始めることもしばしば。
ただし、体の具合が悪い時に振動で治癒力を高めるためにする場合があるとも言われており、ゴロゴロ鳴きにはいくつかの意味があるようです。
お腹を見せて寝る
人間と暮らしてきた歴史が長いにもかかわらず、猫は野性を強く残す動物です。そのため基本的には警戒心が強く、ウトウトすることはあっても熟睡することは少ないと言われています。
そんな猫がお腹を見せて寝ている姿は、究極にリラックスしている証。急所であるお腹を見せ、すぐに立ち上がることができない姿勢で寝ているということは、周囲に危険がないと判断して穏やかな気持ちになっているということ。
飼い主さんに完璧に心を許している状態です。ただし、お腹を触られることを嫌がる猫は多いので、たとえ猫がかわいらしくお腹を見せて寝ていても、ぶしつけに触るのは控えましょう。
耳が前に出て目を半分閉じる
人間ほど豊かではありませんが、猫にもちゃんと表情があります。リラックスしている時の猫は耳がやや前方を向き、目は半分閉じてうっとりしたような顔つきに。
瞳孔は細すぎもせず開きすぎもせず、ちょうど半分程度の細さになっています。お腹がいっぱいで満足している時などに、よくこうした表情を見せます。
シッポも顔も上向きになっている
シッポも猫の気持ちを表すバロメーターです。シッポを真上にピンと立てて顔も上向きに歩いている猫は、ご機嫌で友好的な気分。
シッポを立てて近付いてくる猫は、飼い主さんに甘えたい気分でもあります。生まれて間もない子猫は自力で排泄ができないため、母猫にお尻を舐めてもらって排泄を促してもらいます。この頃の名残で、甘えたい時にはシッポを立てて近付いてくるのです。
まとめ
クールに見えて、実は全身を使って気持ちを表現している猫。愛猫がここに挙げたような行動を取っていたら、飼い主さんに気を許している証拠。引き続き愛猫の心地良く穏やかな毎日を守ってあげてください。
もしも「うちのコ、あまりリラックスできていないかも…」と感じたら、その原因を探り、愛猫が落ち着くように環境を整えてあげてください。リラックスして過ごすことは愛猫の長生きにもつながります。