犬 社会化

子犬が無邪気に遊ぶ姿は微笑ましく心が和みます。この愛くるしい子犬の時期は好奇心も旺盛でさまざまなものに慣れるためにとても適しています。個体差はありますが、生後3週齢ごろから16週齢くらいの時期を社会化期と呼び、親犬や兄弟などの犬とだけでなく、私たち人間との絆も出来上がってくる時期です。この社会化期には、子犬がこれから遭遇する様々な刺激(掃除機や花火の音、赤ちゃんの声など)に慣らし、飼い主だけでなくその他の人やほかの動物と触れ合うことで社会性を養うことができます。

今回は社会化期についてお話しします。

社会化とは

犬
社会化

社会化とは、様々な経験を通して、他の犬や人と仲良くできるための社会性を身につけ、生活していくうえでのルール(トイレやお散歩、食事のマナーなど)を学び、社会の中で生きていくことができるようにすることを言います。この社会化に適した時期を社会化期と呼び、大体生後3~16週間頃の時期です。

生まれて離乳までの間は母犬や兄弟姉妹と同じ家で過ごします。接する人もほぼ変わらないですし、音やニオイもほとんど変わりません。いわゆる慣れた環境です。

しかし、慣れた環境しか知らずに成長していくと、出会ったことのない見知らぬものに対して警戒心をもつようになります。慣れていないものや知らないものを怖がり、受け入れることが難しくなってしまいます。

このような状況が続くと知らない人や犬などに向かって吠え続けたり、攻撃的に噛んでけがを負わせてしまったりしてしまいます。

社会化期に学びたいこと

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社会化

ほかの人に慣れる

子犬をお迎えしたら家族以外のできるだけたくさんの人に会ってもらいましょう。

いつも同じ人ではなく高齢の方から子供さんまで、性別を問わず、様々な状況(家でも、家の外でも)で会ってもらうことが大切です。

人がたくさんいる場所に連れて行くのも良いですが、ワクチン接種プログラムが終了していない場合はスリングやキャリーなどに入った状態で行きましょう

ほかの犬に慣れる

成長するにつれほかの犬に接する機会が増えていきます。お散歩中や公園、動物病院で出会う機会が多くなるでしょう。その時にほかの犬に対して吠えたり、唸ったりしないように子犬の時期から慣れていきましょう。無理をして相性の悪い犬に急接近させる必要はありません。ほかの犬に挨拶をすることや、仲よく遊ぶことを少しずつ学習させていきましょう。

音などの刺激に慣れる

外に出ると様々な刺激があります。代表的なものは「音」「風」「光」です。

車やバイクのエンジン音、救急車などのサイレン、雷、稲光、強風、大雨、花火など外では様々な音がします。そのような音に少しずつでも慣れさせていきましょう。その音がしても自分には何の影響もないとわかれば怖がらなくなります。

音体に触られることに慣れる

爪切りやトリミング、歯磨き、動物病院での診察など体を触られることがたくさんあります。触られることに慣れていないと怖がってしまい、恐怖のあまり攻撃してしまう犬がいます。犬自身は身を守るためにやっていますが、十分なケアを受けることができませんし、病気になっても検査や治療を受けることができないケースもあります。体を触られても平気な犬に育てるためには社会化期の間に触られても怖くないことを教えることが大切です。

社会化期の過ごし方が最も大切です

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社会化

犬の社会化期の過ごし方はその犬の一生を決めると言っても良いでしょう。社会化期は物事を柔軟に覚えていく時期です。様々なものに興味を持ち、たくさんの情報をどんどん吸収していきます。この時期を過ぎると、人見知り、警戒心などが芽生え、自我が芽生えるようになり新しいことに適応しにくくなります。

社会化期に家の中ばかりにいたり、ゲージやサークルの中に閉じ込められたまま多くの情報や刺激に接する機会がないと、将来的な性格にも影響が出ることが多く、問題行動を起こしやすくなります。

また、社会化期を過ぎてしまったからといって、何も対応できなくなるわけではありません。じっくりと時間をかけて楽しい経験を積み重ねることで社会性を身につけることも可能です。

とはいえ、適応するスピードは社会化期の方がはるかに速いため、この時期に社会性を身につけておくことが大切です。しかし、いったん社会性を身につけても、そのままやめてしまうと後戻りしてしまうこともあるため、できれば成犬になるまで、社会化期と同様のトレーニングを継続することが大切です。

社会化期の過ごし方がその犬の一生を左右します。

まとめ

今回は犬の社会化期についてお話ししました。

様々な人やもの、他の動物などに接することで、多くのことに適応できる犬に育ちます。子犬にとっても、飼い主である人間にとっても、その後の愛犬との生活に関わる非常に重要な時期ですので、社会化期を逃さないよう積極的に関わっていきましょう。
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