犬 えさ高温多湿になる梅雨~夏の時期は食中毒が発生しやすくなります。食事や水の与え方、ドッグフードの保存方法など、わんちゃんが食中毒にならないように気をつけるポイントについて解説します。

食中毒が起こりやすい時期と原因

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食中毒は人だけでなく犬にも起こり、特に梅雨~夏にかけて高温多湿になる時期に多く発生します。原因としては、細菌が最も多く、次いでウイルスが挙げられます。食中毒を起こす細菌としてはカンピロバクター、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、ウエルシュ菌が多く報告されています。

これらの細菌は特別なところにだけ存在するのではなく、犬や猫、鳥などの様々な動物が保菌しており、特に黄色ブドウ球菌は健康な人でも皮膚、特に傷口などについています。そのため、食中毒を予防するためには犬のフードを器に入れる前に手をきれいに洗い、フードには素手で直接触れず、清潔なカップなどで取り分けましょう。

中でもカンピロバクタ―やサルモネラ菌は鶏肉に付着していることが多いため、鶏肉を調理した後は念入りに手洗いを行いましょう。また、夏場の暑さで食欲が落ちている犬にササミをゆでてフードにトッピングされる場合もあるかと思いますが、鶏肉の中心部までしっかりと加熱してください。

手作り食を犬に与えているご家庭では、加熱調理した食餌はできるだけ早めに食べさせるよう心がけましょう。調理した食餌をそのまま室温に置いておくとウエルシュ菌が増殖していることがあり、再加熱をしても食中毒の原因となりますので、作り置きをする場合には、調理後できるだけ早いうちに冷蔵または冷凍保存をしましょう。ただし、低温でも増殖する細菌もいますので、冷蔵庫内に入れたとしても早めに使ってください。

これらの細菌が食中毒を起こす機序として2種類のタイプがあります。

感染型:原因菌が付着した食品を食べて感染し、体内で増殖した細菌が食中毒を起こすタイプ
(カンピロバクター、サルモネラ、ウエルシュ菌など)

毒素型:食品内で細菌が増殖して毒素を産生し、その食品を食べて体内に入った毒素が食中毒を起こすタイプ(黄色ブドウ球菌など)

毒素型の場合、細菌自体は食品を加熱して死滅できたとしても、細菌が産生した毒素(黄色ブドウ球菌の場合はエンテロトキシン)はそのまま残っているため食中毒を起こしてしまいます。感染型、毒素型、いずれにおいても第一の食中毒予防は細菌を食餌につけない、増やさないことです。人が素手で触ったフードや、犬が少し口にした後の食餌をそのまま置いておくことで食中毒につながることがありますので、夏場は特に衛生面に気を付けましょう。

また、食中毒はフードなどの食べ物だけでなく、飲み水が原因になることもあるので飲み水の管理も清潔を心がけ慎重に行う必要があります。

夏の食中毒対策

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ドッグフードの保管方法と与えるときの注意

ドッグフードの保管は日頃どのようにされていますか?保管の仕方によっては、袋の中でフードに含まれる脂質が酸化して品質が劣化してしまったり、カビや細菌が発生したりして、食中毒の原因に繋がってしまいます。では、夏場のフードはどのように管理すればよいのでしょうか?
≪ フードの管理方法 ≫
・できるだけ少量パッケージのフードを購入する
コストパフォーマンスを考えると、大袋の商品を購入したくなります。しかし、袋を開けたその時から劣化が始まってしまいます。特に小型犬や食の細い犬の場合は、開封後早めに食べきれるように、できるだけ小袋や個包装になっているものを購入しましょう。

・小分けにする
ドッグフードの中には小分けタイプの製品もありますが、個包装になっていない製品の場合は2~3日分を食品用のジッパー付ビニール袋に小分けして、できるだけ空気を抜き、真空状態で保存しましょう。その際も素手ではフードを触らず、清潔なカップやポリ手袋などを使って衛生的に取り扱いましょう。

・ドッグフードの袋を床に直置きしない
特に1階の部屋の床にドッグフードの袋を直接置くと、床下の温度変化がそのままフードに伝わり、品質の劣化を招いてしまいます。床に置く場合はスノコを敷き、その上に置くだけでドッグフードの袋内の温度が比較的安定します。保管場所は高温多湿にならない冷暗所がよいでしょう。

・冷蔵庫に入れない
冷蔵庫で保管すると出し入れするときに温度が変わり、袋の中に水滴ができてしまいます。この水滴がドッグフードについてしまうとカビが発生する原因になったり、腐敗しやすくなったりと品質劣化を招きます。

水の管理を怠らない

夏場は飲み水の管理もとても重要です。犬の唾液や口の中に残っていたフードが飲み水の中に入ると、水の中で細菌が増えて水質が劣化することがあります。水入れの容器や給水器の消毒も徹底しましょう。
・水は一日に最低2回は交換する
容器内の水が減っていなくても、必ず最低1日2回は水を取り替えて新鮮で清潔な水を飲めるようにしましょう。
・給水器は飲み口部分に注意
給水器は便利なアイテムですので利用している方も多いと思います。しかし、給水器の飲み口は直接犬が舐めますので雑菌がつきやすく不衛生になりがちです。定期的にミルトンなどの比較的安全な消毒液でつけ起き消毒を行いましょう。

まとめ

気温や湿度が高くなる梅雨~夏場は、犬においても食中毒に注意が必要です。そのため、夏場のフードは管理の仕方に気を配り、水もこまめにとりかえて衛生的に保つなど、いつもの習慣に少し気遣いと工夫を加えて、命に関わることもある食中毒から大切なわんちゃんを守ってあげましょう。