犬 スプレー
スリッパや家具の椅子、トイレの枠など犬が噛んでボロボロにしてしまうことに頭を悩ませている飼い主さんは多いでしょう。そんな中、飼い主さんに希望を与えてくれるのが噛みつき防止スプレー。ただ、いざ買って試してみたら全く効かなかった、という声をよく聞きます。実はスプレーで本当に噛みつきを防止するためには使い方にコツが必要なのです。そのコツについて紹介していきます。

噛みつき防止スプレーとは

犬 熱中症

噛みつき防止スプレーとは、犬が苦味や辛味を感じる成分を含んだスプレーで、噛んでほしくないものに吹きかけて使います。犬が口にいれても問題のない成分で作られています。キッチンにあるような調味料で自作している飼い主さんもいるようです。

ただ、このスプレーが効果を発揮するためにはいくつかの条件があります。

条件1 最初は大量に吹きかける

最初の数回で、強烈なインパクトを与えることが重要です。スプレーの匂いのする物を噛んだらものすごく不味かったという印象を与えましょう。

1、2回吹きかけるだけではインパクトが足りません。びちょびちょになるまで吹きかけてください。そのうち匂いと不味さを関連して覚え、匂いを嗅ぐだけで噛まなくなります。その後も同じ物にスプレーをかけ続けることで味と物を関連して覚え、その物自体を噛まなくなります。

スリッパや靴下など水分が染み込みやすい素材かつ面積が小さめの物で先に使用し、強烈なインパクトを与えるのが良いでしょう。匂いと味を関連付けることができれば、びちょびちょにできない吸水性のないものや面積の大きいものに使用しても、匂いだけで避けてくれる可能性が上がります。

条件2 一度使った物に対して、犬が近づかなくなるまで使用し続ける

犬は何度も体験したことを学習します。一度きりの経験は学習できません。一度成功したからといって、犬が完全に学習する前にスプレーの使用をやめてしまうと効果が出ません。

ある日いきなり不味くなり、その後は何度噛んでもずっと不味かったと思わせなければなりません。全く近づかなくなるまでスプレーを利用し続けましょう。

スリッパや靴下など動かせるものの場合は、スプレーしていないときは犬の届くところに置かないようにしましょう。スプレーを使用したときだけ、さりげなく犬の気づくところに置いておきます。

家具など動かせないものについては、スプレーしていないときはペットサークルや柵で囲って近づけないようにし、スプレーしたときだけ近づけるようにします。

学習し、届くところにあってもその物に近づかないようになるまでの辛抱なので、学習するまでは対策を徹底しましょう。

条件3 犬が噛む直前に吹きかける

スプレーは揮発性が高い、つまり蒸発しやすいため、犬が噛む直前に吹きかけておかないと効果が薄れてしまいます。匂いはするけどそんなに不味くなかったという印象を一度でも与えてしまうと、スプレーをしても「今回ももしかしたら不味くないかも」と試しに噛んでみるようになってしまうかもしれません。犬をケージから出す直前や、犬が散歩から帰ってくる直前に、犬に気づかれないようたっぷり吹きかけるようにしましょう。

噛みつき防止スプレーが効く噛みつきの種類

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噛みつきにはいくつか種類があり、人や犬に対する攻撃的な本気咬み、人や犬に対する甘噛み、そして物などを噛んでボロボロにしてしまうという意味での「噛み」です。

噛みつき防止スプレーは物などに対する後者の「噛み」に対してしか使用できません。

本気咬みをするときには、かなりの恐怖や怒りを感じているためスプレー程度では効き目がありません。その原因を特定し、徐々に慣らしてあげる必要があります。危険も伴うので本気咬みが見られる場合はトレーナーの監督のもと対処しましょう。

甘噛みの場合でも手足を噛まれると痛いので、人間の手足に吹きかけて使う人がいますが、この方法はおすすめできません。人間の手は犬を撫でたり、歯磨きやブラッシングなど体のケアにも使うため、犬にとって心地よいものでなくてはいけません。手や足に対して犬に苦手意識を持たせないよう、噛みつき防止スプレーは甘噛み予防には使わず、あくまで物への噛みつきを防ぐためのものだと考えましょう。

手足に限らず、他の犬や犬が身に着ける物(洋服やリード)など、苦手意識を持ってしまったら困るものに対して使うのも避けましょう。

他の対策と併用する

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犬は捕食動物として獲物を捕まえて噛みたいという欲求を持っています。噛んでもいいものを与え、犬の「噛みたい」という欲求を満たしてあげなければいけません。そして、飼い主が教えなければ犬は噛んでもいいものと噛んではいけないものを区別できません。

また、犬は本来、コミュニケーションや遊びに口を使う動物です。犬同士お互いを甘噛みして、取っ組み合いをして遊びますし、嫌なことをされたときにも噛み付いてそれを伝えます。もともと口を使うのが自然なので、人間相手にはそれをしてはいけないと教えなければ犬は人を噛むものだと考えましょう。

また、上でも述べたように犬は何度も経験したことを学習します。噛んではいけないものを噛んで面白かったと繰り返し経験してしまうと学習し、また噛むようになります。噛んで欲しくないものは噛む機会を与えないことが大切です。

よって犬が噛まないようにするためには、犬の噛みたい欲求を満たし、噛んではいけないものを教え、噛んではいけないものはその機会を与えないことが大切です。

噛みたい欲求を満たす

噛んでもいいものを思いっきり噛ませてあげましょう。犬は動くものを捕まえたいという欲求があるので、ロープやぬいぐるみなどを生き物のように動かして、犬が噛み付くように仕向けましょう。

また、コングといって中が空洞になっているゴム製のおもちゃがあり、フードや専用のペーストなどを詰めて与えてあげると夢中になって噛みつきます。

個体差がありますが、1日15分のおもちゃ遊びを3−4回ほど取り入れてあげると心地よく疲れ、噛みたい欲求が満たされるでしょう。

噛んではいけないものを教える

遊びの最中に手や足を噛まれたときは、おもちゃを持ってその場を去り、犬を数分間一人にしましょう。それでも遊びたくて追いかけてきたり、他のものを噛み始めてしまう場合は、遊びを始める時点で犬にリードをつけて家具などに繋いでおくとそれを防ぐことができます。

何度も繰り返しているうちに、人を噛むと楽しい遊びが終わってしまうと学習し、噛まないようになります。

噛んではいけないものを噛む機会を与えない

犬はそもそも体を触られることに慣れていないため、子犬が手を噛んだり、抱っこを嫌がることは自然な行動です。ご褒美(フード)を使って触られることに慣らす必要があります。

慣らす前に不用意に手を出したり、痛くないからといって甘噛みさせるままにしてしまうと人の手を噛んでも良いものととらえ、楽しさを覚えてしまいます。

また、片付けを徹底し、犬の届く所に噛んではいけない物を置かないようにしましょう。子犬の時期は特に好奇心旺盛なので、一歳になるまではサークルなどで行動範囲を制限するなどの対策をとり、噛んではいけない物を噛む機会を与えないようにしましょう。

まとめ

以上のように、噛みつき防止スプレーは犬が物を噛んでしまうときに使用するものであって、甘噛みや本気咬みを防止できるものではありません。また、スプレーだけで根本的な解決がされるわけではありませんので、スプレーを効果的に使いながら、他の対策をとっていくことが大切です。特に子犬の時期に噛んでもよいものと噛んではいけないものをしっかりと覚えさせることが重要です。噛んでもよいおもちゃを使った遊びで十分に欲求を満たしてあげるよう心がけましょう。