家の中には犬の興味をひくものがたくさんあります。食べ物、おもちゃ、タオル、スリッパなど気になるとなんでも口にしてしまいます。手の届かないところに置いたつもりでも、どこからか探し出してきておもちゃにしていることもあるかもしれません。万が一飲み込んでしまうと手術が必要になることもあります。トラブルを防ぐ住環境の作り方についてお話しします。
トラブルを防ぐ住環境とは?
トラブルを防ぐ住環境を作るときにまずやっていただきたいことがあります。それは、犬の目線の高さで家の中を観察することです。人の目線で大丈夫と思っても、犬の目線で観察すると「あんなところに何か落ちている!」と、気づくことがあるかもしれません。
住環境においてトラブルを防ぐために以下ポイントをチェックしましょう。
1.口にしてはいけないものを出しっ放しにしない。棚やタンスの中など見えない場所に入れても、引き出しや扉を開けて取り出すこともあるので、必ず犬が開けられないところに保管しましょう。
2.犬の手の届く高さに物を置かないようにしましょう。背伸びをしたり、体当たりをして落とたりして誤飲事故が起こる可能性があります。
3.お留守番をさせるときには誤飲やけがを防ぐためにサークル内で。
4.スリッパやタオルなどの人間の生活用品をおもちゃにとして使わせない。遊んでもよいおもちゃとそうではないものの区別が分からず、ボロボロにされてしまいます。また、タオルや靴下などの衣料は遊んでいるうちに咬みちぎって食べてしまうことがあり、腸閉塞を起こして緊急手術が必要となることがあるため注意が必要です。
5.人間の食べ物を与えない。特に、食事時など台所や食卓テーブルで与えてしまうと、テーブルにはおいしいものがあることを覚えてしまいます。
食べてしまってから叱っても何を怒られているのかわかりません。また、食べようとしている瞬間に叱られると、飼い主さんの声や仕草などに驚いて、慌てて飲み込んでしまうことがあるため、口に入れているのを見つけた時にはできるだけ静かに近づいて、そっと口から取り出すか、おもちゃやおやつなどと交換して口から離すように促しましょう。誤飲事故などを防ぐためには、まずは誤飲をさせない環境作りをしましょう。犬が食べてはいけないものの保管場所をしっかり管理し、犬の目線で住環境を整えることが一番大切です。
家庭内のルールを全員で守りましょう
犬にとって安全な環境を作るためには犬にルールを守らせるだけでなく、わたしたち自身が守っていくルールがあります。例えば、「うっかり片付け忘れた」というのがこれにあたります。犬には安全なものか危ないものかわからない場合があります。家庭内での誤飲事故は「うっかり」が原因で起こることが多いのも事実です。
「テーブルの上にチョコレートを置いたまま出かけてしまった。」「興味を持っているおもちゃなどを片付けないで置きっぱなしにした」などが代表的です。そういうとき、犬は飼い主さんが出かけている間に食べてしまったり、遊んでいるうちに飲み込んでしまったりするかもしれません。きちんと片づけてから出かける、お留守番中はサークルやゲージにいれる、というルールを日常的に飼い主さんが守ることで、命に関わる事故を未然に防ぐことができます。
また、サークルやクレート内でお留守番できるようにしつけておくことは非常に大切です。いつも自由にしていたのに急に留守番はサークルでといわれても犬は戸惑い、出してほしくて吠え続けることになるでしょう。クレートを嫌がって、吠える、柵を噛み続けるなどの行動がみられる場合クレートトレーニングが必要です。おやつや知育玩具を使ってトレーニングができます。正しい方法はペッツオーライのしつけ部門などからトレーナーに相談しましょう。子犬のころから、クレートトレーニングをしっかり行い、クレートやサークルでもストレスなく過ごせるようにしましょう。
床や階段、玄関などの安全確認
床や階段は転んだり滑ったりする可能性があるので対策が必要です。転んで靭帯を痛めてしまったり、滑って階段から落ちてしまい骨折や怪我をしてしまう可能性があります。フローリングの床に滑り止めの機能を持つワックスを塗る、じゅうたんを敷いて滑りにくくするなどの工夫をしましょう。また、階段を昇り降りできないようにゲートを作るのも良いでしょう。
また、玄関から飛び出して交通事故に遭ってしまったり、家に戻れなくて行方不明になってしまうこともあります。外にいる間に他の犬と喧嘩になったり、人を噛んでしまい被害を負わせてしまうこともあるかもしれません。家から突発的に飛び出すことができないように室内の環境を工夫しましょう。例えば、多くの動物病院ではこのような事故が起こらないように二重扉にしています。家庭ではそこまでするのは難しいかもしれませんが、ゲートを設置する、リビングやケージに犬がいることを確認してから玄関扉を開けるなど、飛び出し防止策を考えましょう。
まとめ
家庭内での事故、家庭外でのトラブルを引き起こさないようにするためには、様々な工夫や考えで、犬のために安全な住環境を作り、家族全員が守るルールを話し合って決めておくことが必要です。本当なら防ぐことができた誤飲事故が原因で開腹手術を行う必要が出てきたり、最悪の場合には大切な命を亡くしてしまうこともあります。愛犬が危険な目に合わないように、現在の住環境を見直し、安全な飼育環境となるよう十分注意しましょう。