愛犬に、目やにがいつもより多くついていたり、涙を流しているようであれば、それはもしかしたら病気のサインかもしれません。ほかにも目の充血や、白く濁っている、目を閉じたままにしている、目をこするといった症状がみられたときにも目の病気が疑われます。
飼い主が病気についての知識をしっかりと持っておくことで、事前に病気を予防できたり、早期発見に繋がります。気をつけたい犬の目の病気についてご説明いたします。
チェリーアイ
チェリーアイの症状
チェリーアイとは、目の内側にある瞬膜という角膜の潤いを保つ膜から、瞬膜腺が飛び出し、赤く腫れあがってしまう病気です。症状としては、目に痛みを感じるため、犬は目をしきりに気にするようになり、前足でこすったり、瞬きが多くなったりします。
チェリーアイという名前のとおり、さくらんぼのように真っ赤に腫れあがってしまうため、日頃から犬とコミュニケーションをとっていれば、すぐに気がつくことができるでしょう。
チェリーアイの原因
チェリーアイは、遺伝が原因となる先天性のものと、犬同士の喧嘩やそのほかの外傷による後天的なものがあります。チェリーアイは生後半年から2歳頃までに発症しやすいため、若い犬で特に注意が必要です。
チェリーアイの治療方法
チェリーアイを治療する際は、まず飛び出した瞬膜腺を元に戻す治療を行い、症状が軽いようであれば、点眼薬を投与しその後の経過を見ます。場合によっては赤く腫れあがっている患部を切除する外科手術を行うことがありますが、これはドライアイ等のリスクがあるため、おすすめはできません。
チェリーアイの予防方法
チェリーアイを予防するには、犬が外傷を負わないように、知らない犬と接触させないことや、喧嘩しないように様子を見ておく必要があります。また、先天性である場合には予防ができないため、日頃から犬の目を観察し、異常がないかをチェックするようにしましょう。
角膜炎
角膜炎の症状
角膜炎とは、犬の目を覆う角膜という膜が炎症を起こしてしまうことです。軽い痛みから激しい痛みまで程度に差はありますが、その痛みによって犬は目をしきりに掻き毟ろうとしたり、目を完全に開けられずショボショボしたり、涙や目やに、まばたきが多くなります。また、角膜が白く濁ってくることもあります。
角膜炎の原因
犬が角膜炎を起こす原因としては、何らかの原因によって角膜に傷がつくことのほか、感染や自己免疫によるものもあります。シーズーやヨークシャーテリア等の被毛が長い犬種であれば、被毛が目を刺激して角膜炎を起こすことがあるため、目の周りの被毛を短くカットするなど、角膜炎にならないように予防が必要になります。
角膜炎の治療方法
角膜炎の治療は、抗生物質や抗炎症薬の点眼薬を用いて治療を行います。また、角膜を守るためにコンタクトレンズをつけることもあります。症状が重く失明の危険性がある場合には、外科手術によって治療を行います。
角膜炎の予防方法
角膜炎にならないように、被毛の長い犬種は、目の周りの毛をカットすると良いでしょう。また、異物が目に入り角膜を傷つけることがないように、室内環境を整えたり、散歩中に草むらに顔を突っ込まないようにするなども角膜炎の予防となります。
白内障
白内障の症状
白内障は、犬の目にある水晶体が白く濁ってしまい、視力の低下や失明をしてしまう病気です。進行性の病気であるため、徐々に目が見えにくくなってしまいます。
障害物にぶつかるようになったり、ふらふらと自信がなさそうに歩くようになったりしたときは、犬の目をよく見てみましょう。黒目が白く濁っていたら、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
白内障の原因
白内障には、遺伝が原因である先天性のものと加齢や病気による後天性のものがあります。前者はビーグルやゴールデンレトリバー、ミニチュアシュナウザー等の一部の犬種でみられます。
後者は高齢のほか、強い紫外線、異物や犬同士の喧嘩、外傷などによる水晶体の損傷、目の病気、糖尿病などが原因となります。。高齢犬は白内障になりやすいため、特に注意が必要です。
白内障の治療方法
白内障は、進行性であり、完治することは難しい病気です。早期発見であれば進行を遅らせることを治療目的として、点眼薬や内服薬によって治療を行います。
しかし、すでに進行している場合や完治を目指す場合には、手術によって水晶体を取り除き、眼内レンズを入れる治療を行うことがあります。
白内障の予防方法
先天性の白内障の場合には遺伝的な原因であるため、予防することはできません。
また、後天性の場合、高齢によるものは予防は難しいですが、強い紫外線に長時間あたることを避けることや、異物や外傷に気を付けて目を守ってあげることが大切です。そして、日頃から犬の目をチェックする習慣をつけることで、白内障の早期発見、早期治療に繋がります。
まとめ
犬とアイコンタクトをとったり、一緒に遊んだりできなくなるのはとても寂しいことです。愛犬の目を守るために、日頃から犬とのコミュニケーションをとり、今回紹介したような目の病気のサインにいち早く気が付くよう、目をはじめ、全身の状態をよく観察することが大切です。それにより、愛犬の異常や病気を早期に発見、治療することができるでしょう。