人間ほど見た目の変化がないためなかなか気づきませんが、猫は人より早いスピードで歳を取っていきます。愛猫が元気に長生きするためには、ライフステージに合ったフードや環境を整えてあげることが大切です。
子猫時代はあっという間!1年で大人に
生まれたての子猫の体重はわずか100g前後。手のひらに乗るほど小さく、目はまだ見えません。それが生後1週間ほどで体重は250g前後、1か月で500g前後、3か月で1.5kg前後…と、みるみるうちに大きくなります。
猫の生後1か月を人間の年齢に換算すると1歳前後、2か月は3歳、3か月は5歳、半年は9歳くらいと言われています。生後1年〜1年半ほどで人間の17〜20歳くらいの年齢に達し、体重も4kg程度まで増えて、一人前の大人の猫(成猫)に成長するのです。
猫は人間の4倍早く歳をとる!?
生まれてから最初の1年でほぼ大人になる猫。生後1年半は人間に換算すると20歳にあたり、2歳では24歳に。その後は1年ごとに4歳ずつ歳を取ると考えらえています。若い頃はパワーがあり余っているためケガや事故に一定の注意が必要ですが、基本的には健康で、大きな病気などは経験しない猫が大半です。
猫がシニアのライフステージに入るのは7歳(人間で言うと44歳)を過ぎる頃。見た目の変化はまだそれほど現れませんが、若い頃より食べる量や運動量が減るなど、徐々に老化が始まっていきます。猫の平均寿命は14歳前後と言われていますが、飼い主さんが愛猫の老化に気づき始めるのは11歳(人間で言うと60歳)頃が多いようです。
この年齢になると、内臓や筋肉が衰え始め、動きも明らかにゆっくりになって、食事とトイレ以外の時間は寝ていることが多くなります。毛づくろいの回数も減って被毛にツヤがなくなり、若い頃は引き締まっていた体つきがたるんでくることも。
そのほかにも食べ物の好みが変わる、トイレ以外の場所で排泄する、大きな声で鳴き叫ぶなど、さまざまな老化現象が起こる可能性があります。
<猫と人間の年齢換算早見表>
猫 | 人間 |
---|---|
1か月 | 1歳 |
2か月 | 3歳 |
3か月 | 5歳 |
6か月 | 9歳 |
9か月 | 13歳 |
1歳 | 17歳 |
1歳6か月 | 20歳 |
2歳 | 24歳 |
3歳 | 28歳 |
4歳 | 32歳 |
5歳 | 36歳 |
6歳 | 40歳 |
7歳 | 44歳 |
8歳 | 48歳 |
9歳 | 52歳 |
10歳 | 56歳 |
11歳 | 60歳 |
12歳 | 64歳 |
13歳 | 68歳 |
14歳 | 72歳 |
15歳 | 76歳 |
16歳 | 80歳 |
17歳 | 84歳 |
18歳 | 88歳 |
19歳 | 92歳 |
20歳 | 96歳 |
※上記はあくまで参考値であり、猫種や飼育環境によって異なります。
シニア猫が暮らしやすい環境作り
「猫の老化が目に見えて感じられるのは11歳頃」と述べましたが、これはあくまで目安。老化のスピードや症状は猫によって異なるため、一概に年齢で区切れるものではありません。「今までと違うな」と感じたら、獣医師などの専門家に相談しながら、愛猫が暮らしやすい環境を整えてあげることが大切です。
ライフステージに合ったフードを与える
年齢が上がると消化・吸収力が衰えるほか、食べる量が減ったり一度にたくさん食べられなくなったりと、食べ方にも変化が現れます。消化に負担をかけず、栄養が吸収しやすいシニア猫用のフードを選ぶようにしましょう。いつでも新鮮な水が飲めるように用意することも忘れずに。
トイレや寝床を暖かい場所に設置する
トイレを寒い場所に置いてしまうと、シニア猫はトイレに行くのをおっくうがって我慢したり、粗相をしたりすることも。また、高齢になると体温調節が苦手になるため、部屋の中の寒暖差はできるだけ少なくしてあげてください。猫のトイレや寝床はすきま風や底冷えのない、暖かな場所に設置するようにしましょう。
積極的に遊ばせる
シニア猫になると、若い頃に比べてめっきり活動量が減ってきます。しかし、筋肉や脳の衰えを防ぐためには体を動かすことが大切です。猫は、いわゆる“短距離走のランナー”タイプなので、ダラダラと遊ぶより短時間に集中して遊ぶほうが得意。毎日5分程度で良いので、お気に入りのおもちゃなどで思い切り遊ばせるようにしてください。
体調の変化に常に気を配る
高齢になるとさまざまな病気のリスクが増えてきます。シニア猫に多い腎臓疾患をはじめ、ガン、下部尿路疾患、歯周病、認知症などは代表的な病気の一部。いずれの病気も早期発見が予後に大きく影響するため、ふだんから愛猫の体調変化に注意しておきましょう。
愛猫が急に痩せてきた、大量の水を飲んで多量のおしっこをするといった症状は腎臓病が疑われますし、食べたばかりでフードをねだる、夜鳴きをするといった場合は認知症の可能性があります。また、毎日スキンシップをかねて猫の体を触り、異常が無いか確かめることも大切です。少しでも「あれ?」と感じる点があったら、まずは獣医師に相談してみましょう。
まとめ
いつまでも無邪気な子どものように見える猫ですが、いつかは飼い主さんの年齢を追い越していきます。ライフステージに合った食事や飼育環境を整えてあげることで、加齢による衰えを遅らせることができるかもしれません。ぜひ、愛猫の年齢に合ったケアを心がけてみてください。