じゃれて甘噛みをする、おもちゃに飛びついてガジガジ噛む、飼い主さんに怒られた時に反抗して思わず噛む…。犬は感情の高ぶりとともに「噛む」ことがよくある生き物です。なぜこれほど噛むのか、犬にとって噛む行為はどんな意味を持つのか、解説します。
手の代わりに口を使って調べている
犬の前足は人間のように器用に動かすことができません。犬にとって噛むことは、ちょうど人間が気になるものを手にとって大きさや形、重さなどを調べるのに似ています。見慣れないスリッパやおもちゃなどが目の前にある場合、口に入れることで「これは何かな」と確認しているのです。
特に、まだ幼い子犬の場合は噛むことが知能の発達に役立つと言われています。噛んでも差し支えのないおもちゃやトリーツを与えて、思い切り「ガブガブ」を楽しませてあげると良いでしょう。
いけない「噛みグセ」とは?
噛むことは犬にとっては本能的な行動の一つ。しかし、子犬ならともかく中〜大型犬の成犬に噛まれては人間がケガをしてしまうケースも考えられます。噛んではいけないものを噛んでしまう「噛みグセ」は、下記のような理由で発生します。
歯がかゆい
歯が生え変わる時期の子犬が、口の中のむずがゆさを解消するために噛むケースがこれ。生え変わり時期に一時的に起こる症状です。
遊びの延長と思っている
なでようとした人の腕を噛む場合などは、犬は遊びのつもりでじゃれついていると考えられます。
縄張り意識から
来客や宅配便の配達員などに噛みつく場合は、自分の縄張りを荒らされたことへの抗議や怒りの意味合いがあります。「見たこともないやつが来た」「何をされるか分からない」という恐怖心から噛み付くこともあります。
衝動を止められなくて
ちょっと不思議に感じる理由ですが、「噛みつきたい!」という本能的な衝動から人間の足などに噛みついてしまう犬がいます。逃げるものを追いつける狩りの習性が表れた結果です。
良くない噛みグセを直すには
多くの場合、犬は遊び半分で人間の手や物に噛みついています。遊びの延長線上で噛んでしまうということは、無駄噛みを「してはいけない行動と思っていない」、「無駄噛みをやめると良いことがある」と認識できていないものと思われます。
犬の噛みグセをしつけ直すには「してほしいこと」と「してほしくないこと」を明確にし、してほしい行動がとれた時にはごほうび(おやつ)を与え、してほしくない行動をとってしまった時はおしおきをします。
おしおきと言っても頭ごなしに叱ることは絶対にいけません。たとえば、うっかり噛んでしまった時には犬が嫌がる臭いや音の出るグッズを使うなどして「人を噛むと嫌なことが起こるんだ」ということを犬に覚えてもらうようにしましょう。
愛犬の噛みグセが出そうな場面をよく知っておき、噛みグセが出た瞬間に上記のような方法で驚かせます。愛犬が一瞬ひるんで噛むのをやめた瞬間に、ごほうびのおやつを与えます。こうすることで飼い主さんにとっての「してほしいこと」「してほしくないこと」を学習してもらえるのです。
ただし、何の前触れもなくいきなり噛みついてきたり、フードの入ったボウルを取ろうとした時に噛んできたりするような噛みグセは、単なる遊びの延長とは言えない可能性があります。間違ったしつけ方をすると重大な事故につながることも考えられるため、獣医師や専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
愛犬に噛みつかれたらショックを受けてしまう飼い主さんもいるでしょう。恐怖や腹立たしさが湧いてくることもあるかもしれません。でも、感情にまかせて怒ったりおびえたりするのではなく「いけないことはいけない」と愛犬にきちんと覚えてもらうことが大切です。ただし、噛みグセをしつけ直すには正しい知識と根気が必要です。少しでも不安や疑問がある場合は獣医師や専門家の意見を聞いてみましょう。