ペット コミュニケーション
犬は人類によって初めて家畜化された動物で、それがいつ頃からかは諸説ありますが、約1万4千年前に始まったのではと考えられています。また、猫は約9500年前から人間のそばで生活してきたと言われています。

一緒に過ごしてきた長い歴史があるからこそ、人とペットは心の通い合ったパートナーになれたのかもしれません。そして、いつもかたわらに寄り添ってくれる愛犬・愛猫との絆をもっと深めるために、彼らの“言葉”を知っておきましょう。

知っておきたい犬のボディランゲージ

犬 ボディランゲージ
言葉は話せないのに、私たちに何を語りかけているような仕草や表情を見せる犬。実は体全体で感情を表現しています。犬のボディランゲージを正しく知って、愛犬の気持ちをもっと理解してあげましょう。

人の顔や手をなめる

愛情表現の一つ。犬の祖先であるオオカミは、自分より強いオオカミの口をなめることで恭順の意を示します。犬は特に顔を舐めるのが好きです。群れの中で体の接触をすることにより、絆を深め、高位のメンバーへの服従を示す方法です。

つまり、犬が人の顔や手をなめるのは「あなたを頼っているよ」という気持ちの表れ。飼い主さんが落ち込んでいる時に顔をなめるのは「元気出して」という励ましの意味もあると言われています。また、本来は食べ物の吐き戻しをねだる方法でもあるため、「何か食べたいよ」という気持ちを表していることもあります。

首をかしげる

犬が首をかしげる様子はとてもかわいらしいもの。何か気になる音がした時に、「あれは何だろう?」と正確に聞き取ろうとしている仕草です。犬は人に聞こえない音域の音も聞き取っているので、小首をかしげる仕草は割合よく見られます。

お腹を見せる

犬 コミュニケーション
仰向けになってお腹を見せる行為は、犬にとって弱い部分を見せて相手に敵意がないことを示すもの。この時の気持ちは「仲良くしよう!」「遊ぼうよ」という友好的なものです。

シッポを立てる/垂らす

シッポは気持ちを雄弁に語ります。シッポをピンと立てている犬は、「相手より自分のほうが偉いんだ」と自信たっぷり。逆にシッポを垂らすのは体を小さく見せる行為で、「ごめんなさい、怒らないで」と屈服する姿勢を表しています。

また、シッポを垂らすと同時に、頭と体を低くして、耳を下げ、シッポを後ろ足の間に巻き込んでいるときには「怖いよ、近づかないで」と恐怖心を表しています。

あくびをする

あくびをしている犬は、眠いわけではありません。これは、相手の攻撃心をやわらげて自分の緊張をほぐそうとする、カーミング・シグナルと呼ばれるボディランゲージの一種。カーミング・シグナルには他に自分の顔や前足をなめる、体をかくなどがあります。

この時の犬はリラックスしているように見えて、実は少し緊張気味のときや、ストレスを感じているときです。犬がカーミング・シグナルを見せた時は無理をさせないように気をつけましょう。

目、耳、ヒゲ、シッポ…全身で語る猫

猫 コミュニケーション
とらえどころのない行動で、時に「気まぐれ」「ミステリアス」などと評されることもある猫。でも、よく観察すれば感情表現がとても豊かなことが分かるはずです。

耳を立てる/伏せる

猫の感情が一番表れやすいのが耳です。ピンと立てている時は何かに対して興味津々。「あれは何だろう!?」と少し興奮気味です。耳を伏せて後ろに引くのは、恐怖を感じて身を守ろうとする仕草。

恐怖の度合いが増すほど、耳はピタリと伏せられます。また、耳を伏せて、背中を丸くし、毛を逆立てているときは攻撃的になっていますので、注意しましょう。

ヒゲの向き

細いヒゲも、立派なコミュニケーションツール。ヒゲが鼻よりも前へ向かっている時は何かに興味を持っている時や前から向かってくるものなどに警戒している時です。

ヒゲが頬いっぱいに広がるのは、「どんなことも見逃さないぞ」と周りに気を配っている表れです。そして、ヒゲをピンと立てているときは嬉しいときで、さらにシッポを立てて近づいてくるときには「遊んで」と誘いにきています。

瞳孔が大きく開く

猫 ボディランゲージ
黒目を大きく真ん丸に見開いた猫は一見ぬいぐるみのようにかわいいものですが、これは興奮や恐怖を感じている表情。極度の恐怖から攻撃してくることも考えられるので注意が必要です。逆に瞳孔が細くなっている時はリラックスしているか、警戒しているかのどちらかです。

シッポを立てる/垂らす

猫がシッポをピンと立てて小走りで近付いてくる時は、親愛の情を示しています。これは、母猫に排尿を促してもらう子猫の動作で、飼い主さんへの甘え、信頼の表れです。

逆にシッポを垂らして毛を逆立てている猫は、体を大きく見せることで「それ以上近付いたら攻撃するぞ!」という警告を発しています。

香箱座りをする

猫が前足を体の下にしまい込んで座る姿勢は、一般的に「香箱座り」と呼ばれます。この姿勢は即座に次の動作に移れないため、ある程度リラックスした状態でないと見られません。周りにいる飼い主さん、家族を信頼し、「何となく落ち着くなぁ」といった気持ちでしょうか。

すれ違い気味?犬と猫とのコミュニケーションの違い


犬と猫の両方と暮らしている飼い主さんも多いと思いますが、実は両者の“言葉”にはたくさんの違いがあります。上でご紹介したシッポでのコミュニケーションもその一つ。犬がシッポを上げる時は強さや優位性を示していますが、猫では甘えや親愛の情の表れです。

また、相手にすり寄る行為も、猫にとっては自分の臭いを相手に付ける友好的な仕草ですが、犬にとっては相手をどかせして優位性を誇示する動作と、正反対の意味になってしまいます。

こうした犬と猫のコミュニケーションの違いを知れば、愛犬や愛猫の気持ちをもっとよく理解できるようになります。同居している愛犬と愛猫の仲があまり良くないと感じる時は、上に述べたような点に注意して観察してみると、何かヒントが見つかるかもしれません。

まとめ

純粋でストレートに感情を表現するペットたち。話せないかわりに体全体を使って、私たちとコミュニケーションを取ってくれているんですね。ですが、ペットのボディランゲージを正しく理解しないでいると、うれしい気持ちはもちろん、ペットからの大切な訴えを逃してしまうことになります。

上記にあげたような代表的なボディランゲージに加え、あなたの愛犬・愛猫をよく観察していると、その子独自のボディランゲージが見えてくるかもしれません。これは、絆を深めるだけでなく、病気や体調の変化のサインにいち早く気づけることにつながります。特に犬の場合には、しつけをする上でもボディランゲージを理解しておくことはとても大切で、困った行動の原因も理解できるようになります。愛犬・愛猫とのコミュニケシーションを通じて、絆がより強いものとなり、ペットとの暮らしがさらに充実したものとなりますように。

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