ついつい触りたくなるプニプニの肉球…と言えば、何となく猫の専売特許のようなイメージ。ですが、犬にだってかわいらしい肉球があるんです! あまり知られていない犬の肉球の役割と、魅力を保つためのお手入れ方法などについてお伝えします。

犬の肉球の構造と役割


肉球は皮膚の外側の角質層が厚くなったもの。中央に位置する手のひらのような掌球、その上に4つ並ぶ指球、掌球のすぐ下にある小さな狼爪、そのさらに下に付いている手根球で成り立っています。肉球の主な役割は、下記のようなものです。

衝撃を吸収する

歩いたり走ったりする際、地面からの衝撃を吸収し、足の骨や関節を守る役目を持っています。

地面の熱さや冷たさを遮断する

犬の肉球は分厚い角質層で、極端な熱さや冷たさから内部組織を守っています。だからこそ、地面の多少の熱さや冷たさは気にせずに歩けるのです。

足裏を保護して歩きやすくする

犬が裸足で外を歩けるのは肉球のおかげです。でこぼこ道や砂利道などを歩く際に、分厚い肉球が言わば靴の役目を果たしてくれるからです。

ただし、室内で飼われている犬の肉球は柔らかく、でこぼこした道路や砂利道を歩くことに慣れていないため、不用意に歩かせると傷付いてしまうことも。靴下で保護するなどの配慮が必要です。

体温調節する

犬は体の表面には汗をかきませんが、体温調節のために肉球には汗をかきます。しっとり湿った肉球は、走ったりターンしたりする際の滑り止めの役割も果たします。

家庭でもできる肉球のお手入れ


犬のチャームポイントである肉球。でも、ケアを怠ると乾燥したり硬くなったりしてくることも。簡単なお手入れなら自宅で飼い主さんでも行えます。

肉球の間の毛をカットする

トイ・プードルなどのトリミング犬種では、足裏の毛がどんどん伸びてきます。トリミング・サロンでカットしてもらっても2〜3週間も経つと毛が伸び、肉球が隠れてしまいがちに。滑り止めの役割を果たす肉球が毛で覆われてしまうと転びやすくなり、ケガにつながります。

転倒防止のためにはペット用のバリカンかハサミで足裏の毛をカットすると良いでしょう。あくまで次回サロンに行くまでの「つなぎ」なので、肉球が見える程度でOK。刃物の扱いには十分に気をつけ、おとなしくできない犬には無理に行わないでください。

クリームやジェルで保湿する

プニプニと触り心地の良い肉球も、乾燥するとひび割れたり硬くなったりします。愛犬の肉球が荒れていると感じたら、ペットの肉球専用の保湿クリームやジェルを塗ってあげると良いでしょう。

ただし、犬は慣れないものを塗られると気にして舐めてしまうもの。犬が口に入れても安全な成分でできているものを選びましょう。

肉球をケガや病気から守るために


愛犬の散歩は毎日欠かさず行くという飼い主さんも多いと思います。肉球は汗をかくため、地面からの汚れを吸着しやすいパーツ。散歩から帰って来たら、濡れタオルで優しく肉球の汚れを拭き取ってあげましょう。犬は自分で肉球を舐めるため、石けんを使って拭くことは避けてください。

もしも肉球をケガしてしまった場合は、傷口を舐めさせないように気をつけて、早めに動物病院へ連れて行きましょう。肉球が傷つくと破傷風にかかるリスクが高まります。破傷風は破傷風菌という細菌感染が原因で起こる感染症です。

感染すると破傷風菌が産生する毒素により、ひきつけや手足のこわばり、呼吸困難といった特徴的な神経症状が現れ、重症例では死に至るケースもあります。破傷風菌は日本国内の土壌中に常在していて、傷口が地面にふれると感染する可能性がありますので、外出中に肉球に切り傷などの怪我をした場合には、まず傷口をよく流水で洗い流すようにしましょう。

また、傷が治るまでは泥道や草むらなどの散歩は控えるようにしましょう。最近では、散歩時の足裏を保護する犬用の靴下なども市販されています。愛犬の性質にもよりますが、アスファルトやでこぼこ道を散歩することが多い場合は検討してみてもよさそうです。

まとめ

小さいけれど魅力いっぱい、そして意外な役目を持つ犬の肉球。肉球の状態をチェックすることは、愛犬の健康状態を把握する上で欠かせません。スキンシップも兼ねて、嫌がられない程度にお手入れをしてあげましょう。

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