猫
ひと昔前までは、家の中と外を行き来する猫の飼い方がまだ多く見られました。しかし、現在では猫は完全室内飼育が望ましいとされています。その理由を探ってみました。

猫にとって、外の世界は危険がいっぱい!

愛猫を外に出すことには、さまざまな危険がつきまといます。また、近隣住民への配慮という観点から、猫の完全室内飼育を勧めている自治体も少なくありません。猫が外の世界で遭遇する可能性のあるリスクとは?

交通事故に遭う

子猫 鳴く
運動神経が良いイメージの猫ですが、実はとても交通事故に遭いやすい動物です。車が向かってくるとうずくまって固まってしまう、ヘッドライトに目がくらんで動けなくなるなどがその理由です。

ある自治体のデータによれば、行政による殺処分数よりもはるかに多い数の猫が「路上死」していたそうです。こうした路上死の大半は交通事故が原因。たとえ事故で命を落とさなくても、負傷して動物愛護センターに運ばれた猫の多くは殺処分されてしまいます。

ケガをする

よそのオス猫とケンカになり負傷する、異物を踏んで肉球を傷付けてしまうなど、外出にケガのリスクは付き物です。

伝染病に感染する

ノラ猫の多くは何らかの病気を持っています。ノラ猫と接触することでそれらの病気に感染してしまったり、ノミやダニをうつされたりするリスクが高まります。

虐待される

世の中にはさまざまな人がいます。中には猫が嫌いな人もいますし、ノラ猫に迷惑をかけられて怒っている人もいます。弱い動物をいじめて楽しむ人も、残念ながらいるのです。愛猫を外出自由にすることは、こうした人たちによる虐待のリスクと隣り合わせだと言えます。

誘拐される

金銭や虐待目的で猫を捕獲する人間もいます。人なつこい猫の場合、簡単に捕まってしまうので特に危険です。

迷子になる

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
発情期のオス猫は、メスを求めて自分の縄張りから出てしまい、帰れなくなってしまうことがあります。 

望まない妊娠をする

避妊手術を受けていないメスが外に出れば、ほぼ確実に妊娠すると言っても過言ではありません。生まれた子猫を育てる覚悟がない場合、手術前のメス猫を外に出すべきではありません。

近隣トラブルの原因になる

猫を外出自由にすると、ご近所とのトラブルが発生するリスクもあります。一番多いのは排泄に関するトラブル。愛猫が隣家の庭で排泄をしてしまい、迷惑をかける問題はよく起こります。また、ケンカの声や抜け毛などもトラブルの一因に。

猫にとって室内飼育は安心で快適なもの

「狭い家の中に閉じ込めるのはかわいそう」と考える飼い主さんもいるようですが、環境さえ整っていれば完全室内飼育でもストレスはたまりません。それどころか、安全で快適な室内は猫にとって最高の居場所になります。

猫は、それほど広い縄張りを必要としない動物です。犬は広い「面」での運動を好みますが、猫に必要なのは面積よりも高低差。たとえ狭いワンルームでも、家具の配置を工夫して高低差をつけたりキャットタワーを置いたりすれば、十分な運動になります。
ねこ
さらに、飼い主さんが頻繁に遊んであげる、ベランダなどに安全な囲いを作ってたまに猫を入れてあげるといった配慮をすれば、猫は室内飼育でも楽しく、ストレスなく過ごすことができます。

ただし、室内に危険がないわけではありません。たとえば電気コードをかじることが好きな猫がいる家庭では、コードを隠すためのカバーを取り付けることが必要です。また、お風呂の残り湯がたまっている時は、浴室に猫が入れないように必ずドアを閉めましょう。

その他、猫が口にすると危険な植物や食べ物、猫にとって毒となる種類のアロマオイルなども室内に置かないように気をつけましょう。

まとめ

交通事故、ケガ、伝染病感染、ご近所トラブルなどなど……。猫を外に出すと、こうしたたくさんのトラブルに見舞われるリスクがあることが分かりました。愛猫の長生きを考えるなら、完全室内飼育が一番だと言えます。室内を猫にとって快適な空間に整え、愛情をたっぷり注いであげましょう。そうすれば、愛猫は家の中だけでも楽しく、のびのびと暮らせます。

>>他の猫との暮らしに関する記事を見る