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「ただいまー」と家に帰った時、愛猫が足に体をスリスリと擦り付けてくることはありませんか? まるで帰宅を喜んでくれているようで、うれしくなりますよね。でも、実はこの行動には喜びとは別の意味があるのです。猫が人や物にスリスリする理由を探っていきましょう。

スリスリは縄張りを主張するマーキング

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飼い主さんに会えた喜びを全身で表現しているかのような猫のスリスリ。一生懸命にスリスリされると、多くの飼い主さんは「私がいなくて寂しかったんだ」と、猫をより一層いとおしく感じるものです。

でも、実は猫がスリスリする一番の理由はズバリ、マーキングです。猫のマーキングといえば尿スプレーや爪とぎが代表的ですが、スリスリもそんなマーキングの一種。猫のおでこや口周り、肛門付近には「臭腺」と呼ばれる器官があります。

臭腺からは人間には分からない臭いが出ていて、「ここに自分が来た」という証になります。そのため猫は頭を人や物に擦り付けたり、シッポをピンと立てて足や家具にスリスリして、縄張りを主張しているのです。

知らない臭いのものには何でもスリスリ!

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身の回りのものは飼い主だろうと家具だろうと、すべて自分の臭いにしておきたいというのが猫の気持ち。これには「自分の臭いが付いていないと安心できない」という習性が関係しています。猫の祖先が野生で生きていた頃は縄張りの広さは狩場の広さであり、獲物の多さにつながってくるため、簡単に他の個体に譲れるものではありませんでした。家庭の猫にもその習性が残っているため、猫は一生懸命に自分の縄張りを主張するのです。

しかし、尿スプレーや爪とぎに比べてスリスリの効力は持続性が低いため、猫は家中をパトロールしながらスリスリを繰り返します。外から帰ってきた飼い主さんは知らない臭いになっているので、急いで自分の臭いを擦り付けているというわけです。猫がスリスリをしてきたら、すぐに撫でたり抱き上げたりせず、思う存分臭いを付けさせてあげください。

このスリスリはどんな意味?

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帰宅時以外にも頭や体を擦り付けてくる猫。中にはマーキング以外の意味を持つスリスリもあります。どんな気持ちでスリスリしているのか、シチュエーション別にご説明します。

帰宅時やお風呂上がりのスリスリ

上でもご紹介したマーキングのスリスリです。飼い主さんが外へ行ったりお風呂に入ったりすることで自分の臭いが消えてしまったと感じ、必死にマーキングしています。自分の臭いを付けることで「これ(飼い主さん)は自分のものだ!」と主張しているのです。

リラックスタイムのスリスリ

飼い主さんがソファに座ってくつろいでいる時などに愛猫が膝に乗ってきてスリスリ…。この時、シッポをピンと立てていたら、子猫の気分に戻って甘えている証拠です。

このスリスリは「かまってほしい」という気持ちの表れなので、撫でたり、優しく話しかけたりしてみてください。ただし、しつこくしすぎるのはNG。猫のシッポがブンブン左右に振られだしたら、イライラしているサインです。それ以上構うのはやめて好きにさせましょう。

足元で鳴きながらスリスリ

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猫が何かを要求するような鳴き方をしながら飼い主さんの足にまとわりつく時は、たいてい「ゴハンが欲しい」という合図。日頃からスリスリをすると飼い主さんが構ってくれることを猫が学習していて、ゴハンの要求に応用しているのです。人間は賢い猫に利用されている形ですが、ニャーニャースリスリする愛情の姿がかわいくて、つい言うことを聞いてしまう飼い主さんも多いのでは?

猫同士で軽くスリスリ

猫同士がすれ違いざまに体を軽く擦り合わせたり、頭をゴツゴツなすりつけ合ったり。多頭飼いの家庭ではよく見られる光景ですが、これはお互いの臭いを交換し合う、いわば猫のあいさつ。もし、愛猫が飼い主さんに頭や体を軽く擦り付けてきたら、「おはよう」「元気?」などとあいさつをしてきているのかもしれません。

まとめ

意外な理由があった猫のスリスリ。「好かれていると思っていたのに、単にマーキングされていたなんて…」とショックを受けないでください。猫にとって飼い主さんは安心できる存在だからこそ、「自分のものにしておきたい」と思ってせっせとスリスリするのです。それに、スリスリされると飼い主さんも気持ちいいので、リラックスできますよね。お互いにとってメリットたっぷりのスリスリ。ぜひ思う存分させてあげてください!