楽しそうに、時には真剣に爪とぎをしている猫。でも気づくと壁はボロボロ…。賃貸住宅にお住いの方であれば、退去時の修繕費用が気がかりですし、何より見た目が良くないですよね。ほぼ全ての猫に本能的に植え付けられている爪とぎ行為。ボロボロの壁は半ば諦めている飼い主さんもいらっしゃるかと思います。私も猫を飼う時、覚悟を決めていました。しかし実は、猫の爪とぎはしつけられるのです!今回はその方法をご紹介します。

■なぜ爪とぎをするの?

そもそも猫はなぜ、爪とぎをするのでしょうか。これには幾つか理由があります。

1、古くなった爪の外層を取り除くため。爪の古い層をはがして、新しい爪を出そうとしています。
2、縄張り意識のため。肉球にあるにおいを分泌する臭腺を家具などに擦り付けて、自分のにおいを付け、縄張りを確保しようとしています。
3、自己顕示のためのパフォーマンス。これには、実際に野外の猫を観察し、他の猫が周りにいる方が爪とぎの頻度が多くなったという研究結果があるようです。
4、ストレスを感じた時の転移行動として。睡眠を邪魔されたとき、無理に抱っこされたときなどのストレスを発散しようとしています。
5、飼い主の関心を集めるため。爪とぎした時むやみに怒ると、この理由による爪とぎを誘発させがちです。猫は怒られることをかまってもらえると勘違いしている可能性があります。
6、高所に登りやすくするため。

このように、猫の爪とぎの理由には生まれつき持っている本能的衝動のほか、後天的学習によって形成された動機が混ざり合い、強く爪とぎを促しています。

■猫にとって最適な爪とぎ場所

はじめに、猫が爪とぎ場所を選ぶ時は、
1、過去に爪とぎをしたことがあるかどうか。
2、目立つ場所や物。
3、爪とぎそのものの材質。
などの場所を好みます。

また多くの猫にとって理想的な爪とぎは、
1、立て掛け式。立てたときに最低30センチ以上あるものが理想。
2、安定感があるもの。体重をかけても、力を入れても動かないものが理想。
3、爪の引っ掛かりが良いもの。
4、爪とぎの目が縦方向のもの。
5、マタタビなど猫が好むもののにおい付き。
といった特徴を持つものが考えられます。

市販されている爪とぎにはダンボール、木、縄など様々なものがあります。さらにカーペットや古い絨毯などを用いて自分で作ることも可能です。猫にとって理想的な爪とぎはそれぞれ違うので、複数の爪とぎを用意してお気に入りのものを増やしてみるのも良いでしょう。

■爪とぎしつけ術

猫の爪とぎは本能的な行動なので、やめさせるためのしつけをすることは難しいといえます。しかし、「爪とぎをしてほしくない場所でさせないため」のしつけは可能です。まずは望まない場所で爪とぎしてしまった時、すぐに爪とぎを差し出したり爪とぎ場所に連れて行ってあげましょう。この方法によって与えた爪とぎの方を使ってくれるようであればしつけ成功です。もし成果が出ないようでしたら、爪とぎの素材や種類を猫のお気に入りが見つかるまで変えてみましょう。

そして、望まない場所にはなんらかの対策を講じること。壁であれば市販の爪とぎ防止シートや板を貼ったり、爪とぎを遮るための物を置いたり、壁の前に爪とぎ器を設置したりすることが有効です。これらの対策を講じることができないソファやベットなどに対しては、「猫除けスプレー(猫に無害の市販のもの)」や猫が嫌がる柑橘系フレグランスを吹きかけることをお勧めします。

この他、爪とぎ器の定期的な交換、まめな爪切りなど日頃からの気配りが猫の爪とぎしつけには必要です。むやみに怒るだけではなく、様々なしつけ方法の試行錯誤を繰り返して自分の猫にとって最適な爪とぎ環境を整えてあげましょう。