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ペットの原産国は過ごしやすい気候を表している

純血種のペットたちは元来、人の手によって掛け合わされて生まれてきた子たちです。出身地となる原産国で暮らしやすいように、そして、その地の生活や共生目的にあった形へと変化してきました。つまり、ペットにとっての適切な温度を考える時、その品種の原産国は有効な判断基準となります。

例えば、シベリア出身のシベリアンハスキーやノルウェー出身のノルウエージャンフォレストキャットなどは、寒さに強く、暑さに弱いです。逆に、メキシコ出身のチワワやエジプト出身のアビシニアンなどは寒さに弱く、暑さに強いといわれています。

寒さに強い品種は、表面の粗い毛以外に、内側にとても細く密に生えているダブルコートといわれる毛の生えかたをしています。これは、断熱材の役割をしていて、体表面から熱が逃げないようにしています。逆に暑さに強い品種の多くは毛が短く、下毛がないシングルコートで体の熱がこもらないような構造になっています。

一般的に言われている適切な温度

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近年、“熱中症”について、注目されることが多くなり、同時に快適な過ごし方やエアコンの使用方法についての情報も増えてきました。一般的に犬や猫にとっての快適な温度は20℃~25℃といわれています。おおよそ人が半袖で快適に過ごすことができるくらいの温度です。

ただし、ペットが快適に過ごすための環境は気温だけではなく、湿度にも気を付けてあげる必要があります。ペットたちは、人と違って汗をかく場所が肉球と鼻に限られています。そのため、口を開けて舌を出し、浅い呼吸を繰り返すパンティングを行い、舌の水分を呼吸によって気化させ、体温を下げています。この時、湿度が高いと十分に気化することができず、体温が下がらなくなってしまいます。快適な湿度は40~60%といわれていますが、なるべく室内に温湿度計を設置し、快適な温度、湿度に保たれているかどうか見てみるといいでしょう。

病気によって考慮したい快適温度

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原産国や一般的情報以外に考慮する必要があるのが、その子自身の身体的特徴や疾患、体質などです。
次の項目にチェックが入る子はなるべく暑くならないように、気温を低めに設定しておく必要があります。

気温を低くした方がいい場合

□ 1.短頭種である
□ 2.気管や肺など呼吸器系に問題がある
□ 3.心臓が悪い
□ 4.肥満である
□ 5.過去に熱中症様症状になったことがある
□ 6.いつも玄関やタイルなど冷たいところにいる

逆に、気温を高めに設定しておく必要がある子は以下の項目にチェックが入ります。

気温を高めにした方がいい場合

□ 1.子犬である
□ 2.老犬である
□ 3.泌尿器系に問題がある子
□ 4.いつも毛布など暖かいところにいるのが好き
□ 5.日が当たるところを自ら探して寝ている

まとめ

ペットたちは、自ら体調にあった場所を探して動きます。そのため、あくまでも温度設定は基準として、寒くなった時に移動できる温かい場所、暑くなった時に体を冷やせる場所を作っておけるようにしましょう。そして、いつも暖かいところにいる子が涼しい場所ばかりにいるようになったら、それは何かの体調の変化です。病気のサインの可能性もありますので、チェックをしに動物病院に行くようにしてください。

この記事を書いた人:丸田 香緒里先生

日本大学獣医学科卒。動物病院に勤務後、飼い主様にもっと近い存在の獣医師になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーに、アニマルライフパートナー設立。
病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリングなど活動は多岐にわたる。また、一般社団法人女性獣医師ネットワークの理事を務め、家庭と獣医師業を両立する女性の活躍をめざし活動中。
アニマルライフパートナー http://www.animallifepartner.com