日光浴で健康促進
ペットが、日向(ひなた)でのんびり、気持ちよさそうにお昼寝をしている姿、皆さん見たことがあるのではないでしょうか。人間同様、ペットにとっても、日光浴はとても大切だと考えられます。昔から、日光を浴びることは、万能薬とも言われるくらいさまざまな効果と言われてきました。理想的な生活を示す言葉として、「日の出とともに起き、日の入りとともに寝る」と言われているように、日中に日光を浴びることで、体内時計が調節され、夜もぐっすり寝ることができます。
幸せホルモンとして注目されているセロトニンや、若返りホルモンでもある成長ホルモンの分泌は、日光浴をすることで促進されます。人も同じですが、カルシウムの吸収に必要なビタミンDの合成には太陽光が必要です。わんちゃん、ねこちゃんはビタミンDを食事から取ることも出来ますが、一部、体内で合成するとも言われているため、健康的な骨格を維持するためにも良い効果が期待できると思います。太陽光に含まれる紫外線には、殺菌効果もありますので、動物病院への来院理由で一番多い皮膚病の予防にも効果を期待できるかも知れません。
おうちのペットは、日光浴できていますか?
室内飼育が一般的になり、多くのペットが室内で生活するようになりました。ねこちゃんや小さなわんちゃんの中には、お散歩にもほとんど出ない子が少なくありません。室内で生活していれば、当然お外に出る機会も日常生活の中ではほとんどないでしょう。
健康促進のために、日光浴は1日に30分~1時間が理想といわれています。だからといって、散歩の習慣がないわんちゃんや、そもそもお外に連れて行けない室内飼いのねこちゃんをお外に連れ出し、日光浴させるというのは現実的ではありません。そういう時は室内の環境を見直しましょう。なるべく日光が入りやすい日当たりの良い環境を作ってあげられるように、遮光カーテンではなく、朝日の入るカーテンに変えたり、日中は薄いレースのカーテンで日光が入る明るい環境を作ってあげたりしてみてはいかがでしょうか?ハウスでお留守番をしている子は、ハウスの位置を日光が当たるように工夫してあげてもよいでしょう。
日光の有害性は大丈夫?
太陽光を浴びることで心配なのは紫外線の悪影響でしょう。紫外線によって皮膚がんのリスクが高くなることは人でもよく言われることで、ペットも同じです。皮膚以外には目への悪影響も心配です。角膜炎や白内障、目の老化の原因になります。
また、長時間、直射日光に当たると熱中症になることがあります。太陽の光を浴びて思いっきり屋外で遊ばせるのはよいことですが、適度に休みを取り、気温や体温上昇に気を配る必要があります。紫外線は午前中から昼過ぎにかけて、季節では春から夏にかけて増えますので、屋外で過ごす場合は、時間や季節の日照時間に合わせて気をつけてあげてください。直射日光の当たらない木陰を選ぶなども良いと思います。
先生から日光浴について、飼い主さんにメッセージ!
最近まで愛犬(シーズー)の介護をしていました。最後はほぼ寝たきりでしたが、日中時間があると、公園でのんびり日光浴をさせていました。晩年は足腰も弱ってお散歩には行きたがらなかったのですが、日向ぼっこをしながら、ゆったり時間を過ごしていた時の安らかな顔には癒されました。
室内で過ごしがちなペットですが、元気よく、健康的な生活を送らせてあげるためにも、日光浴を一つの健康維持のキーワードとして、心にとめていたけると嬉しいです。
麻布大学獣医学部卒。気軽に立ち寄れるペットオーナーのためのコ ミュニティスペースを目指し、「ペットスペース&アニマルクリニックまりも」を東京都世田谷区、杉並区に開業。2011年「女性獣医師ネットワーク」を立ち上げ、女性獣医師のための支援を行っている。
ペットスペース&アニマルクリニックまりも http://petspace-marimo.com
一般社団法人 女性獣医師ネットワーク http://www.w-vet.net