現代社会はストレス社会と言われていますが、人とともに暮らすペットもまたストレスを感じているのを知っていますか?ストレスの原因には、様々なものがあります。ペットがどのようなこでストレスを感じるのかを知っておきましょう。
■ ペットがストレスを感じる要因
ペットがストレスを感じる要因には以下のようなものがあります。
・引っ越しや新しい家具配置などによる環境の変化
・ペットの周囲での暴力や攻撃行為
・無防備な子供の行動
・工事や車・バイクによる大きな音や振動
・発情が来るけれど繁殖行動が行えない
・食事や水分が十分でない
・長い留守番やケージなどへの閉じ込め
・相性が合わない犬や猫との同居
・ペット自身の体調不良
また、ドッグランやパピーパーティでの激しい遊びも実は、興奮から血中アドレナリン濃度が高まり、ストレスがかかった状態と同じ状態になるので、動物にとって負担となることもあります。ペットである動物は、毎日同じ時間に同じことが行われることを好み、穏やかな生活を続けていくことを本能としています。
では、ストレスを感じたペットは、どのような行動として、表れているのでしょうか?ストレスサインがないか見てみましょう。
■ ペットのストレスチェック!
□ 1.落ち着きがなくなる
□ 2.よく吠える
□ 3.攻撃的になる
□ 4.体を掻きつづける
□ 5.ハアハアとパンティング呼吸をしている
□ 6.耳が後ろに向いている
□ 7.尻尾が下がる
□ 8.あくびをよくする
これらの行動が見られるときはペットがストレスを感じているかもしれません。ペットがストレスを感じていないかいつも心がけてあげましょう。
■ ストレスが原因で起こるケガや病気もある
人もペットも、ストレスを感じると、自律神経の乱れから、脳はアドレナリンなどのストレスホルモンを大量に出し、体を守る「免疫の働き」を弱らせてしまいます。その結果、さまざまな病気を引き起こしてしまうのです。
ペットは、長時間ストレスにさらされた場合、大きな声で鳴く、十分に眠れない、体臭がきつくなる、円形脱毛症などが見られます。さらに免疫力の低下から、下痢や便秘をしやすくなったり、アレルギー症状や皮膚病を引きおこしやすくなります。
また、ストレスが原因となる病気でよく見られるのは、しっぽを追いかけ続けたり、前足など一カ所をずっと舐め続けるために、毛が抜け落ちてしまったり、皮膚炎になることがあります。最悪の場合、自分自身を咬みちぎってしまうこともあります。治療をするために、動物病院へ通うことや、襟巻きやテープなどによる傷の保護などが、さらにペットのストレス負担になる可能性もあり、治すことが非常に難しくなります。
■ ストレスに気づき、ペットと幸せに暮らそう
ぺットがストレスを感じると、体や行動にいろいろな兆候が現れます。ペットのストレス状態が長くなるにつれて、心身のバランスを崩して、不特定な病気を発症することもあるでしょう。ペットの行動をよく観察して、ストレスの原因や症状に気付き、ストレスを軽減できるよう対処をしてあげることが、飼い主さんの大切な役割です。
原因となるものがはっきりしているのであれば、原因そのものをなくしてあげましょう。しかし、具体的にどうしたらいいのだろうか...と思い悩まれる飼い主さんも少なくはないでしょう。その場合、最も大切なことは、ペットといつもよりたくさん触れ合って、遊んであげる時間をふやしてあげることです。日々の積み重ねが大切です。愛するペットとの楽しい時間を増やし、ペットも飼い主さんもストレスを解消するための時間を作りましょう。
一方で、一緒にいるときはいい子でも、お留守番のときに粗相をしたり、物をこわしたりなどの問題を引き起こしてしまう場合には、分離不安などの病気の可能性もあります。このような場合には、毛をむしったり、かじったりなどの自傷行動にならないよう、早いうちに動物病院で獣医さんに相談されることをおすすめします。
北里大学獣医学部卒業。東京大学農学生命科学研究科付属家畜病院高度医療研究室研究生修了。神経外科、整形外科を中心とした病院にて研修。出産休業の後、ペットスペースまりもにて臨床に従事。2児の小学生の子育てと獣医師の仕事をいかに両立させるか、試行錯誤中。
ペットスペース&アニマルクリニックまりも: http://petspace-marimo.com