■ 愛犬のオナラが臭い...生活環境が原因??
愛犬のオナラが臭い...どうしてなんだろうと心配になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。この匂いの原因、多くは生活環境が影響しています。生活環境を少し変えることで、臭さがなくなることもあるのです。まずは、チェックリストでチェックしてみましょう。
■ 愛犬の状態チェックリスト
※1つでも○があって、臭いオナラが出ることがあるならば、獣医さんに相談してみましょう。
□ 1.おしり、特に肛門が臭い
□ 2.よく下痢をする
□ 3.よく吐いてしまう
□ 4.うんちが出にくいことがある
□ 5.老犬である
□ 6.げっぷをよくする
□ 7.うんちに血が混ざることがある
□ 8.乳製品で軟便になる
□ 9.うんちの形がない
□ 10.うんちの色が白い
□ 11.うんちに未消化のものが混ざる
いかがでしたでしょうか?たとえば、大豆やイモ類などをあげた場合、食べたものを消化する際に、腸内にいるさまざまな細菌の動きが活発になるために、発酵型ガスが多く産生されて、臭いオナラがでます。同様に、肉類を多くあげた場合、腐敗型ガスが多く産生されるため、臭いオナラがでます。また、犬はもともと乳製品を分解する酵素を十分に持っていないので、乳製品を大量にあげた場合、消化不良を引き起こして腸内にガスが溜まるため、臭いオナラがでることがあります。
ほかに、愛犬にストレスがある場合や、年をとっている場合は、胃腸の機能が低下して動きが悪くなるため、消化しきれない食べものが腸内に溜まってしまい、臭いオナラがでるようになります。また便秘になった場合は、腸に溜まったウンチの横をガスが通っていくので、臭いオナラの原因となります。
■ オナラが臭いのは、病気が原因??
オナラから病気が見つかることもあります。オナラの回数が増えたり、音が大きくなった場合は、消化管の中のガスが、異常に増えている可能性があり、何んらかの病気が疑われることが多いのです。特に、オナラの臭いが強い場合には、注意が必要です。たとえば、愛犬が少し変わったものを食べたり、感染症などにより免疫力が低下したりしている場合に起こる胃炎や腸炎では、消化管内の環境が乱れて腸内細菌のバランスが崩れるために臭いオナラがでます。この場合、オナラだけでなく、げっぷや嘔吐、下痢を伴うこともあります。膵外分泌不全や炎症性腸疾患では、食べものの消化吸収に影響があるために、ウンチの色も白っぽくなります。
消化管に腫瘍がある場合には、腫瘍による炎症や出血も加わって、非常に強い臭いのオナラがでる事があります。特に直腸がんでは、ウンチに血が混ざることもあり、最悪の場合には亡くなってしまうこともありますので、注意が必要です。
■ オナラが出るのは当たり前!だけど、本当はどうなのかな...。
オナラは、胃や腸などの消化管の中にたまった余分なガスが肛門から出たものを言います。なので、愛犬がオナラをするのは当然のことですね。ただ、臭うオナラがでると、飼い主さんもびっくりすると思います。この匂いは、生活環境が原因のものと病気が原因のものと、2つのタイプがあります。
・生活環境が原因の場合
生活環境が原因の場合には、食べたものを消化することが正常に行われて、腸内細菌のバランスが整うようにしてあげることが大切になります。食べ物を消化しやすいようにふやかしてあげたり、餌をいれるお皿の大きさ変えたり、食物繊維の多いもの(豆類やキャベツなど)を減らしたり...などなど、愛犬にとってふさわしい食事内容や環境を選んであげることが、一番大切なことです。
・病気が原因の場合
しかし、急にオナラの回数が増えたり、匂いがきつくなったりする場合には、病気が原因であることもあります。中には、早急に診察・治療をしなければ、命にかかわるような病気もあります。大切な愛犬に、気になる症状がある場合には、早めに動物病院で獣医さんにご相談されるほうがよいでしょう。
北里大学獣医学部卒業。東京大学農学生命科学研究科付属家畜病院高度医療研究室研究生修了。神経外科、整形外科を中心とした病院にて研修。出産休業の後、ペットスペースまりもにて臨床に従事。2児の小学生の子育てと獣医師の仕事をいかに両立させるか、試行錯誤中。
ペットスペース&アニマルクリニックまりも: http://petspace-marimo.com