pixta_3183129_S

■子犬でもストレスをアピールすることを知っていますか?

皆さんは子犬にもストレスサインがあるのはご存じですか?

☑︎ 子犬のストレスサイン;チェックリスト

※気になる項目があれば、獣医さんに相談しましょう。

① 体をふるわせる
② 興奮して息が荒い
③ あくびをする
④ 匂いを嗅ぎ続ける
⑤ 吠え続ける
⑥ 同じ場所を何度も往復する
⑦ 体の一部を舐め続ける
⑧ しっぽを追う
⑨ 下痢
⑩ 咬んだり、凶暴になる
⑪ 破壊行動

チェックリストには気になる項目はありましたか?

犬も人と同じで、子犬のうちは免疫力が低く、環境の変化にも弱いため、ストレスを感じやすくなっています。ストレスが原因で病気になる場合もあります。そのため、なるべくストレスにならない環境作りや食生活を整え、ストレスサインが出ていたら見逃さずに、適切に対処する必要があります。

「子犬のストレスサイン」は「犬にはよくある行動だよね」と重要視されなかったり、一見するとわかりづらいものもあります。さらに、注意すべきは、そのストレスサインの原因が成犬時と子犬時とで異なる場合があることです。

今回は、子犬のストレスサインについて、重点的にお話します。(ここでは、子犬とは生後~約1歳までとします。)

■子犬のストレスサインとは、どんな行動?

pixta_26650641_S

①体をふるわせる

不安または体温調節が上手くできず、寒さを感じてる可能性があります。

②興奮して息が荒い

不安または、感染症や換気が悪い(例:夏場、換気不足で部屋が高温多湿になり、体の熱をうまく発散できないときに起こる熱中症)などが原因の場合があります。

③あくびをする

眠気または、緊張している可能性があります。

④匂いを嗅ぎ続ける

慣れない環境下でのストレス、または好奇心。

⑤吠え続ける

家に来た直後は、急激な環境変化でストレスを感じ、暫く夜鳴きをする場合があります。

⑥同じ場所を何度も往復する

ストレスサインの一種ですが、病気の場合もあります。

⑦体の一部を舐め続ける

不安などによるストレスが原因の事もありますが、病気、怪我のこともあります。

⑧しっぽを追う

子犬は自分のしっぽで遊ぶこともありますが、過度に尾追いをし、咬んだり舐めたりている場合は、ストレス又は皮膚病、怪我なども考えられます。

⑨下痢

感染症、寄生虫などの病気の他にストレス性の下痢をすることもあります。飼い始めやフード変更時に見られる傾向があります。

⑩咬んだり、凶暴になる

通常は成長期に犬同士の遊びの中で力加減やマナーを学びますが、2~3か月齢頃自宅にやってくる子犬の場合、なかなか難しいのが現状です。成長するにつれ学習していきますが、血が出る程激しく咬んだり、急に凶暴になる場合は環境やしつけ、またはてんかんなどの疾患が原因のこともあります。

⑪破壊行動

乳歯が生え変わる時期、歯がむず痒い場合とストレス性の場合があります。

■子犬を飼う上で、飼い主さんに注意していただきたいこと

Scared white Chihuahua

子犬は成犬と違い体力がないため、ストレスを受けた後体調不良を起こしやすい傾向があります。そのため、子犬を飼う時には、ストレスを減らすために「飼う前の準備」と「心構え」が重要です。

まずは、子犬がリラックスして日々過ごせるよう、ゲージや寝床・トイレなどの環境を整えることから始め、首輪やリード、フードの準備を進めましょう。フードは家に来た直後は、急に変えないようにし、できれば同じフードをあげるようにしましょう。以前与えていたフードの種類や与え方も聞いておき、子犬の成長段階に合わせ、少しずつ変えて行くのが理想的です。

また、なるべく早く動物病院で検便検査や健康診断をし、ワクチンや狂犬病、フィラリア予防など今後の予防プログラムについても聞いておくと安心です。この時期、子犬はとても不安な状態で、世鳴きや下痢など体調をくずしやすい時期です。なるべく来客や留守は避け、自宅に慣れるようにしましょう。

生後~約3か月齢の時期は、免疫力が不十分で感染症にかかるリスクが高い時期ですが、犬の「社会化」のためには、とても重要な時期です。外の音や匂いなどに慣れさせるため、キャリー散歩から始め、徐々にリードによる散歩や健康な犬と少しずつ合わせる良いでしょう。ワクチンプログラムが終了してから約6か月齢の間は、更に「社会化」を学ばせておくと、物怖じせず、些細なことでのストレスを感じづらい社交的な犬へと育ってくれます。

ただ、“何事も少しずつ”がポイントですので、忍耐強く少しずつ子犬の成長を見守る気持ちを持ちましょう。また、子犬が安心して生活できる環境の準備は重要です。まずは飼い主さんと多くの時間を一緒に過ごし、信頼関係を育んでください。そして「体調がおかしいな?」と、思ったら早めに動物病院を受診されることをお勧めします。

この記事を書いた人:高稲 誓子 先生

鳥取大学獣医学部卒。千葉県の動物病院に勤務し、結婚&出産後2014年10月からペットスペースまりもに勤務。娘1人のママさん獣医。