Beautiful cat eating fresh meat

■ 猫ちゃんはよく吐く動物?

猫ちゃんは肉食動物なので、基本的にフードは丸飲みです。なので一気に食べたり一度にたくさん飲み込んでしまうと、吐き戻してしまうことがあります。
猫ちゃんがごはんを食べた後すぐに、形状がそのままの消化されていないフードを吐いてしまい、また平然とごはんを食べだしたり、ごはんの催促をしたりという場合は、このケースが多いです。

また、猫ちゃんは毛づくろいをしてそのまま自分の毛を飲み込んでしまいます。この毛は胃の中にとどまり、球状になりますが、やがて吐き出されます(腸に流れて便と共に出ることもあります)が、これは正常な生理反応です。猫ちゃんの中には、上手く吐けずに、何日かオエオエと繰り返してようやく吐ける子や、嘔吐を促すために猫草を好んで食べる子などがいます。
また、お腹が空きすぎて、胃液や胆汁を吐いてしまうこともあります。

猫は吐く生き物。そういってもいいかもしれません。猫ちゃんを飼っている方なら、猫ちゃんの嘔吐は「いつものこと」とあまり心配しない場合が多いかもしれません。
ですが、猫ちゃんを飼ったばかりで、初めて嘔吐する猫ちゃんを見た方は、あの苦しそうな吐き方に心配になります。

ただ、いつものこと・・・と思われがちなところに、危険な病気の症状を見逃しやすいという落とし穴もあります。
様子を見ていいのか、すぐにでも病院に連れて行った方がいいのか、判断するために次のチェックシートを参考にしてみてください。

■ 猫ちゃんの嘔吐チェックリスト

□ 1.フードがほぼ消化できていない、そのままの物を吐いている
□ 2・黄色い胃液のような物、泡のような物を吐いている
□ 3.嘔吐物に毛玉が混入している

□ 4.食後数時間が経過してから、ドロドロに消化したフードを吐いている
□ 5.一日に数回嘔吐を繰り返している
□ 6.食欲が無い
□ 7.最近食が細くなってきている、痩せてきている
□ 8.下痢をしている
□ 9.猫のおもちゃなど、無くなっている物がある
□ 10.自宅の観葉植物などで、猫にとって有害な物がある

■ その「吐き」は大丈夫?チェックしてみましょう!

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1~3番にのみチェックが入っている場合、猫ちゃんに食欲があるのなら様子を見て問題ないでしょう。
ただ、吐くことがあまり続くようなら要注意です。

4〜8番にチェックは入っている場合、吐いたのが一度だけで、その後に食欲や元気があるのであれば、様子を見ても問題ありませんが、もし4以外の5~8番に一つでもチェックが入っているのであれば内臓疾患などが原因の可能性もありますので、一度獣医の診察を受けることをお勧めします。

9〜10番にチェックは入っている場合、「誤飲」の疑いがあります。
おもちゃ以外にも、ヒモ状の物やキラキラ光る小さいアクセサリーなど、猫ちゃんが誤って飲み込んでしまう物は、おうちの中にたくさんあります。
誤って飲み込んでしまった物がそのまま便で出てきてしまえばいいのですが、胃の中にとどまっていれば胃炎になりますし、腸で詰まってしまうと激しい嘔吐、下痢、元気消失などの重篤な症状を起こし、最悪の場合死の危険性もあります。

また、観葉植物の中には猫ちゃんにとって有害な植物も多数存在します。ユリ科の植物などが有名で、葉を一枚食べただけで中毒死することもあるそうです。
誤飲が疑われる場合、また、前述のように激しい嘔吐を繰り返したり、元気が無くグッタリしている場合は急いで動物病院で診察を受けるようにしてください。

■ 猫ちゃんの嘔吐で飼い主さんが気を付けること

チェックリストの1~3番であれば、フードの種類や量の調整で改善できる場合もあります。
例えば、お腹が空きすぎて胃液を吐いてしまうのであれば、フードの量が猫ちゃんの体重にあっているかを確認する(単純に量が足りな過ぎて空腹になっている)。適量であるならあげる回数を増やす(一日100gを二回にわけてあげているのであれば、三回にするなど)。ダイエットフードなど腹持ちのいいフードに変えるなどの方法があります。

また、猫ちゃんにつきものの毛玉も、上手く吐きだせずにいるとどんどん胃の中で大きくなり、通過障害を引き起こすこともあります。
猫ちゃん用フードの中には、腸の動きを良くすることで毛を排出しやすくする物もありますし、猫草は食べることで吐きやすくさせたり、腸の動きを良くすると言われています。

まずは、猫ちゃんの普段の状態を良く知っておきましょう。「嘔吐」に関しては吐くタイミング、吐く内容、吐く回数、その時の猫ちゃんの状態がポイントです。
例えば食後に吐くのが「いつものこと」でも、その後に食欲が無かったり、何度も吐いたり、それが何日も続くようであれば「いつもどおり」ではないかもしれません。
いつもの吐きとは違う・・・と思ったら、獣医の診察を受けた方がいいでしょう。

この記事を書いた人:加藤 由生子 先生

酪農学園大学獣医学科卒業。卒業後、日本獣医中医薬学院にて獣中医学の資格を取得。
現在はアニマルクリニックまりもにて診察、経営のノウハウを勉強中。
今年度中に動物鍼灸を中心とした診療所を開業予定しています。

 ペットスペース&アニマルクリニックまりも :http://petspace-marimo.com/