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■ 猫ちゃんのアゴに黒いブツブツが・・・これって何?

猫ちゃんのアゴに黒いブツブツが・・・単なる汚れかな?と思って拭き取ってみるけれど、良く見てみると他にも何か所かに・・・。
これは猫ちゃんのニキビです。毛穴に詰まった皮脂が黒ずんで、まるで黒ゴマのように見えます。

猫のアゴ下は皮脂腺やフェロモンを分泌するアポクリン腺などが密集してる上に、食事などで汚れやすく、さらに毛づくろいがしにくい場所のため不衛生になりやすいのです。
そのため、細菌の二次感染を起こしやすく、痒みが出てきて掻きむしってしまうこともあります。このような状態になると「猫ざ瘡(ねこざそう)」と呼ばれます。たかがニキビと侮るなかれ、猫ちゃんの皮膚病の一種なのです。

エサの容器、免疫力の低下やストレス、ホルモンバランス、フードの質・・・と因は色々と考えられますが、猫ちゃんのニキビははっきりとした原因が解っていません。品種・性別・年齢問わず発症します。
太めの男の子に多いという話を聞きますが、体質によるところも多いので、一概にそうとは言い切れないでしょう。
ただ、不衛生な環境で、細菌が繁殖するという事から、グルーミングが上手く出来ない幼齢、高齢の猫ちゃん、また免疫力が低下している猫ちゃんでは重症化しやすいと考えられます。

■ 猫ちゃんのアゴ下をチェックしてみましょう!

もしかして、うちの子も?と思ったら、ぜひチェックしてみてください。

□1・黒いブツブツが幾つか見られる
□2・毛が抜けている場所がある
□3・皮膚が赤くなっている
□4・よくアゴの下を掻いている
□5・出血している、または引っ掻き傷が出来ている
□6・1歳以下の子猫である
□7・猫エイズなど、免疫力が低下する病気、または基礎疾患がある
□8・痒みや赤み、脱毛がアゴだけでなく他の場所にも見られる

いかがでしたか?

1番だけならば症状は軽いですが、2~5番にチェックが入っている場合は中~重症化しています。
黒いブツブツが出来ている程度であれば、猫ちゃんにとってさほど不快な状況では無いのですが、2~5番のような状態になっている場合、細菌の二次感染を起こしている状態で、ひどい痒みや痛みがある状態となります。

また、6~8番にチェックが入っている場合、ニキビダニや他の皮膚疾患の可能性があります。

1番のみであれば、次に説明します、飼い主さんによるケアで改善する可能性があります。2番以降にチェックが入っている場合は自宅でのケアだけでは治せませんので必ず動物病院で診察を受けてください。体質的に繰り返す子も多いので、対策も一緒にかかりつけの先生とご相談ください。

■ 猫ちゃんのニキビ、飼い主さんに出来ること。

猫ちゃんのニキビの予防、悪化を防ぐためにもアゴ下を清潔に保つことが第一です。

黒いブツブツが出来ている場合は濡れたタオルや脱脂綿などで優しく拭いてあげてください。その際に、何度もゴシゴシ擦ったり、クシを使ったりすると皮膚を傷つけて、かえって細菌の感染を引き起こしてしまうことになります。一度に全部取ってしまおうとはせず、何回かに分けて拭き取ってあげるようにしましょう。

ペット用のシャンプー剤で洗ってあげるのも効果的です。ただし、その際は必ずちゃんとシャンプー剤を洗い流してあげるようにしましょう。シャンプー剤を残したままだとかえって皮膚の炎症を起こすことがあるので注意です。薬用のシャンプー剤もありますので、ご使用の際は獣医にご相談ください。

前述したとおり、アゴ下は猫ちゃんにとっても毛づくろいがしにくい場所です。子猫ちゃんや老齢の猫ちゃんは、ニキビが出来ていなくても普段から食後はお口周りを拭いてあげるといいですね。

この記事を書いた人:加藤 由生子 先生

酪農学園大学獣医学科卒業。卒業後、日本獣医中医薬学院にて獣中医学の資格を取得。
現在はアニマルクリニックまりもにて診察、経営のノウハウを勉強中。
今年度中に動物鍼灸を中心とした診療所を開業予定しています。 

ペットスペース&アニマルクリニックまりも http://petspace-marimo.com