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■ くるくる回る理由

落ち着きなく、そわそわして、周りを確認するかのように、ニオイを嗅いだり、くるくると回ったりと、トイレ前の行動は個体差がありますが、独特な行動をします。これらは、トイレの場所を探していたり、安全点検をしているそうです。

野生の生活をしていれば、用を足しているときは、無防備な状況です。外敵から襲われる可能性もあるため、しっかりと周りが安全なのかを四方確認していると言われています。人との生活は安全が確保されているはずですので、そんなに確認しなくても大丈夫、安全だよ。とも思いますが、くるくると回ってしまうのは、野外で暮らしていた名残でしょう。

また、排便排尿前、腸が動いたり(蠕動運動)、尿意を感じたりすると、おなかに違和感のようなものを感じるのは、人間も一緒ですね。そのため落ち着かなくなったり、独特の行動を取るとも考えられるでしょう。

■ トイレのときはそっと見守って

室内飼育の場合、トイレのしつけは重要課題のひとつ。トイレを失敗しないか、どうしても注目してしまいがちですが、あまり気にしすぎてしまうと、トイレをするのを止めてしまったり、人から隠れて(不在時や見てない時に)するようになってしまいます。

くるくると回り始めたらトイレのサイン。スムーズに用を足せるように、距離をとって、そっと見守ってください。そして、決められた場所で出来たら、しつけが終わっていても毎回しっかりと褒めてください。

本来、犬はニオイ付けも兼ねてあちこちに排泄をする動物。決められた場所でトイレをするのは、人と生活する上でのルールをしっかりと守ってくれてるということです。子犬時代だけでなく、トイレを出来たら、褒め続けましょう。

■ トイレ前の行動でわかる病気の兆候

排泄時や排泄物で病気のサインがわかることもあります。健康管理の一環として、排泄時の観察はとても重要です。排尿、排便時の普段の行動を観察し、把握しておきましょう。くるくる回ったり、歩きながら排泄したり、普段(健康時)の様子はどうでしょうか?1回にまとめてする子もいれば、細かく分けてする子もいます。排泄のタイミングや回数も知っておきましょう。

■ トイレ前から病気の兆候をチェック

1つでも当てはまれば病気の可能性があります

☑︎排泄時に鳴く、悲鳴をあげる
☑︎排泄時に痛がる
☑︎排泄姿勢をとらずに排泄してしまう
☑︎何度もトイレに行く
☑︎トイレに行くのに出ない
☑︎24時間以上排泄してない。
☑︎ふらつく
☑︎震える

トイレ前に病気の兆候を観察できることがあります。

腰痛、前立腺肥大、尿道結石など排泄時に痛みがある場合は、途中でするのを止めてしまったり、痛がって、悲鳴を上げるときもあります。腫瘍含めた消化器、尿路疾患による、便秘、尿道閉塞などで排泄したいのに出ないことがあります。とくにおしっこが出ない、少しずつは出てるが普段より量が明らかに少ない場合は重篤な状況になっている可能性がありますのですぐに受診しましょう。

腎臓疾患や熱中症などで尿が作られないことがあります。また、高齢になってくるとトイレ前の行動が変化してくることもあります。筋力低下で踏ん張ることが出来なかったり、トイレ前のいつもの行動なく、排泄してしまったり、お漏らし?と思うようなことがあった場合も病気の兆候だったりします。

病気は早期発見することで、大事に至らずにすむことがあります。そして、病気の早期発見で大切なのは、普段と同じかそうでないかを家族がしっかりと把握できていることです。愛犬のトイレ習慣を知っておくことが大切です。

この記事を書いた人:箱崎加奈子 先生

麻布大学獣医学部卒。気軽に立ち寄れるペットオーナーのためのコ ミュニティスペースを目指し、「ペットスペース&アニマルクリニックまりも」を東京都世田谷区、杉並区に開業。2011年「女性獣医師ネットワーク」を立ち上げ、女性獣医師のための支援を行っている。

ペットスペース&アニマルクリニックまりも http://petspace-marimo.com
一般社団法人 女性獣医師ネットワーク http://www.w-vet.net