災害時に人を探し出したり、事件が起きた時に犯人を探したりと、人間が到底及ばない鋭い嗅覚を生かし、警察とともに私たちの暮らしを守ってくれる警察犬。いったいどのような犬が警察犬となり、そして彼らはどのような訓練を受けているのか。意外と知らない警察犬活躍の裏側をご紹介します。
■ チワワの警察犬がいる!?
写真はジャーマンシェパード
日本の警察犬には、各都道府県警察が飼育管理と訓練を行う直轄警察犬と一般の人がこれらを行う嘱託犬がいます。直轄警察犬は全国で約170頭、嘱託警察犬は約1300頭。嘱託警察犬は、都道府県警察が毎年審査会を行い、選考し、任期は1年となっています。
では、どんな犬でも警察犬となることができるのでしょうか。日本警察犬協会は、警察犬種として、
ジャーマン・シェパード・ドッグ、
ドーベルマン、コリー、
エアデール・テリア、
ラブラドール・レトリバー、
ゴールデン・レトリバー
の7犬種を指定しています。どの犬種も大型で、中でもジャーマン・シェパード・ドッグが警察犬として最も数の多い犬種となっています。直轄警察犬となることができるのは、この指定犬種のみです。
しかし、嘱託犬種としては、指定犬種以外にも認められたケースがあり、ロングコート・チワワや柴犬も、「嘱託警察犬」として登録されています。
■ 警察犬になるまでの、ながい訓練
photo by http://wonderfuldog.jp/
「警察犬」のトレーニングは、「直轄警察犬」の場合は各都道府県の警察が行ない、「嘱託警察犬」の場合は民間の訓練所で行われています。今回は、警視庁で行われている直轄警察犬の訓練についてご紹介します。
まず、最初の3ヶ月間で「排便のトレーニング」や「持来欲や集中力を育成するトレーニング」など基礎的なトレーニングを行ないます。そこで警察犬としての適性を認められた犬だけが次のステップに進みます。
適性があるとみなされた犬は、次に、” 休止(マテの状態で、解除の合図があるまで動かないようにするトレーニング)”など、複数種類の「服従訓練」を受けることになります。
「服従訓練」が終わると、より高度な「足跡追求訓練」や「臭気選別訓練」など、より高度な訓練が行われ、その後はさらに犬の特性・能力を最大限に生かすための応用訓練が行われるのです。
こうした約18ヶ月という長いトレーニング期間後、「上級検定」に合格した犬だけが晴れて警察犬となることができます。
■ 引退後も活躍する警察犬
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警察犬は、過酷な勤務となるため、第一線で活躍できる期間は意外と短いと言われています。警察犬たちは引退後、どのように過ごしているのでしょうか。
直轄警察犬は、「国の所有物」なので引退後も譲渡などは認められておらず、原則として引退後も警察署の施設を出ることができません。一方、嘱託警察犬は、元の飼い主に戻されたり、一般家庭に里親に出され、そこで余生を過ごしているようです。
中には、映画化された警察犬のラブラドール・レトリバー「きなこ」のように、引退後は、県の広報活動や県警の様々な啓発活動を行うなど、新たな活動を行う犬もいます。