猫がやけに静かだ、そう思って見てみるとなにやらジーッと壁を見つめています。時には呼んでも気づかないほど真剣に。気になってその先を見てみても、何もない…もしやあそこに人間には見えない何かが?!実はこのような出来事、猫の飼い主さんは一度や二度経験したことがあるのではないしょうか。一体猫はなぜあらぬ方向を見つめているのか。その事実に迫ります。

■ 猫の地獄耳が関係か?

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猫は人間より耳がよく聞こえます。人間の可聴域(音の聞こえる範囲)が20〜20,000ヘルツですが、猫は25〜75,000ヘルツ、場合によっては100,000ヘルツといわれています。つまり、人間には認識できないとても高い音が聞こえるのです。
一方で、猫は視力が弱いためこのように優れた聴覚で外界を捉えているそうです。

以上のことから、猫が壁を凝視している時は壁の向こうに聞こえる配水管の音、虫が動く音、鳥のさえずり、屋外の物音などかすかな音を集中して聞いているという説が最も濃厚です。

そういえば、ウチの猫も母が帰宅し玄関に着く5分前、おそらく車が駐車場に入るくらいのタイミングで玄関にお迎えのスタンバイをしています。このように耳がよく聞こえる猫は、家の階下で鳴っている飼い主の車のエンジン音までも聞き取ることができるのかもしれませんね。

■ ストレスが原因の場合も

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壁をじっと見つめる理由として最も可能性が高いものは前述した可聴域の広さです。
しかし、この見つめる行動が一時的ではなく長い間続くようであれば「常同行動」の一種である可能性も考えられます。

「常同行動」とは、猫がストレスや何らかの葛藤を抱えている場合に見せる行動です。したがってあらぬ方をじっと見つめているという行動が長く頻繁に見られる場合は、少し猫の様子に気を配ってみましょう。壁を凝視する行動と同時に下記のような行動がいくつか見られた場合には注意が必要です。ストレス兆候がエスカレートしてしまう前に猫の周辺環境に不自由や不快な部分が無いか、チェックしてみることをおすすめします。

【ストレスチェック項目】

・瞳孔が拡大する
・皮膚が波打つように動く
・自らのしっぽ、脇腹、お尻を攻撃する
・意味もなく鳴きわめく

■ もしかして、見えるのか…?

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猫があらぬ方向を凝視する原因は以上に紹介してきた理由のほかにも、霊的な力がある、天災を予知するなど猫の神秘性を疑う諸説が存在しますが、これらはまだはっきりとした根拠はありません。

人間は猫ほど聴覚が優れていないため、天井や壁を急に凝視する猫に「もしかして何か見えるの?!」と考えてしまいがちですが、これらはあくまで憶測に過ぎません。
いずれにせよ、不思議でミステリアスな猫はいつも私たちを楽しませてくれます。ああだこうだとイメージを膨らませながら、猫との素敵な生活を過ごせますように。