「猫にマタタビ」というように昔から猫の好物として知られているマタタビ。マタタビを近づけると身体をすりすりしたり、気持ちよさそうに目を細めたり、コロコロと転げ回ったりと猫によって色々な反応がみられます。ときには、猫が興奮しすぎて不安になってしまうほどです。本コラムでは、なぜ猫がマタタビに反応するのか、その秘密について明らかにしていきたいと思います!
■マタタビってなあに?
そもそもマタタビ(別名:木天蓼・モクテンリョウ)とは、極東地域の山地に自生する落葉つる性木本で、国内では北海道から九州といった広い地域で見られます。花期は6〜7月で梅によく似た花を咲かせます。
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マタタビは、マタタビラクトン、アクチニジン、β—フェニルエチルアルコールという成分が含まれており、この3つの成分に猫が反応すると言われています。有効成分は枝、実、花、葉とすべての部分に含まれていますが、猫への効果の強さは葉<枝<実<液体マタタビ<粉末マタタビの順に強くなります。その効果を利用して爪とぎ場所のしつけや一緒に遊ぶとき、猫のストレス解消用など効果的に用いると良いでしょう。また、マタタビには食欲を増進する効果もあるので食欲が落ちてきて栄養状態が心配なときにフードに混ぜて与えるのも一つの手です。
■猫がマタタビに反応する理由
猫は人間にはないフェロモンを感知する特殊な器官をもっています。これはヤコブソン器官と呼ばれ、口蓋の奥に存在します。ここでマタタビに含まれる有効成分を受容し、中枢神経が麻痺したのち性的快感を覚えるといわれています。ただしこの反応に常習性や持続性はなく、途中で飽きて何もなかったかのようにマタタビを離れる猫がほとんどです。そしてまた忘れた頃にマタタビに反応します。
また、マタタビへの反応には個体差があり、中には全く反応しない猫もいます。メスよりもオスのほうが反応しやすいですが、去勢手術を受けた猫もあまり反応を示さない傾向にあります。さらに子猫もあまり興味を示さないため、マタタビはある程度成熟した猫に対して効果があると考えられています。
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■注意が必要なマタタビの危険性とは
ペットショップなどで当たり前のように販売されているマタタビ。手軽に入手が可能なため、危険なものという認識はほとんどないように思います。しかしこれまでに述べたように、マタタビへの反応は中枢神経が麻痺したことにより起こるものであることから必ずしも安全とは言えません。ある研究では過量のマタタビによる中枢神経の麻痺は危険なものであるという結果も出ています。麻痺状態が進行すると脳に障害をきたしたのち、呼吸困難になってしまうことがあります。実際にマタタビによる呼吸困難で緊急搬送され、亡くなってしまった猫もいるそうです。
そこで、マタタビを用いるときは用法・用量をしっかりと守ることが大切です。市販されている粉末マタタビはほとんどの場合、一袋0.5グラム程度です。その程度でしたら支障が出ない程度の効果でしょう。1グラム以上を一度に与えることは避けるのが無難ですが、個体差がありますのでマタタビを与える際は様子を見ながら少量ずつ与えるようにしましょう。
マタタビによって興奮状態の間は、猫がケガをすることのないようしっかりと見守ることも忘れずに。また、使用方法がわからない場合は、かかりつけのお医者さんに相談してみることをオススメします。