ねこ
猫は通常、オシッコを一日2~3回以上します。トイレには行っているのに、なかなかオシッコが出なかったり、丸一日オシッコが出ていないとなると異常です。そんな猫のオシッコにまつわる病気をご紹介します。

猫下部尿路症候群って?

まず、「下部尿路」とは膀胱から排出口を結ぶ尿道の総称です。左右の腎臓から作られた尿は膀胱で1か所にたまり、そこから尿道を通って体外に排出されます。

オシッコをしようとしているのに出なかったり、オシッコをするときに苦しそうにしていたり、血が混じったりすると猫下部尿路症候群が疑われます。

猫下部尿路症候群というと、とても難しい病気に聞こえますが、これは膀胱や尿道の病気の総称で、代表的なものに膀胱炎や尿路結石、尿道炎があげられます。

膀胱炎や尿道炎では、炎症があるために排尿時の痛みが出たり、膀胱が蓄尿しづらくなったり尿を出し切りにくくなったりするので、何度もトイレに行こうとする様子が見られます。また炎症に伴う出血により、尿に血が混じることがあります。
猫
またオスネコに最も多くみられる尿路結石では、結石により組織や粘膜が摩擦で傷つけられて血尿が出たり、尿道が結石で塞がれてしまって尿が出なくなったります(尿閉)。

結石だけでなく、腫瘍や炎症などで尿道が塞がれてオシッコが出なくなってしまうことも考えられるので、丸一日オシッコが出なかったり血尿があったりしたときは、すぐに動物病院に連れて行ってあげましょう。

よく耳にする結石ってなに?

猫は尿結石になりやすい!というフレーズはキャットフードの販売店などでよく目に入るかもしれませんが、結石とは一体何なのでしょうか?

結石症の原因は、オシッコに含まれる無機物・有機物が結晶となり、その結晶が石のような固形物になってしまうことです。これには、炎症や細菌感染、食餌などにより普段は一定範囲に保たれているpHなどのオシッコの化学的性状が変化することが背景にあります。
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検査上、結石がどこに存在しているかにより膀胱結石、尿路結石や腎結石と診断名がつけられます。臨床的によく発見されるのが膀胱結石ですが、主な症状は先ほどお話した血尿と頻回尿です。膀胱や腎臓の結石も、やがて尿の流れと共にさらに下部へ移動することがありますが、尿道に大きい結石が流れて行くと尿閉の危険があります。

治療方法として、結石症用の処方食を使った食餌療法の他、結石の大きさや数、位置によっては外科的に手術で摘出することも検討されます。オシッコが出なくなってしまった場合は緊急で導尿処置が必要です。

もしも疾患を放置してしまったら・・・

猫
こういった泌尿器疾患を放置してしまうと大変なことになります。特にオスネコの場合は要注意です。オスの尿道はペニス内を通るために細長い構造になっており、また骨の周囲を蛇行して走行する箇所では特に狭くなります。水成分だけなら問題なく通れますが、尿中に砂のような結晶があると詰まりやすくなるのです。

尿道が結石により詰まってしまうと本来の尿の流れがせき止められます。しかし腎臓からは尿が産生されつづけるので、膀胱にどんどんオシッコが溜まっていきます。最終的には最上流にある腎臓内の組織にも尿が充満し、正常に機能できなくなります(水腎)。

こうなると尿毒症が発現して、頻繁に嘔吐をしたり食欲不振がみられ、致死的な状況に陥ります。まったくオシッコが出ない状態が1日半続くと死に至るのです。とても怖い病気ですよね。

まとめ

オシッコのトラブルにはいろいろな原因がありますが、マグネシウムやリンを多く含む食品をたくさん食べていたり、水を飲む量が少なかったり、肥満猫はこの病気の危険が高いと言われています。毎日のトイレの状態をよく確認し、トイレ砂の塊の大きさや回数に異変を感じたら早めに動物病院に相談してくださいね!

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