静かな部屋で、どこからか「プープー」という音がする…。よく聞いてみると、愛猫が鼻をプツプツ、プープーと鳴らしているようです。普段は静かな猫の呼吸音が突然このようになる原因と、飼い主さんが行うべき対処法を探っていきましょう。
鼻の異常音の正体は鼻詰まり
猫の鼻からプツプツ音がするのは、鼻詰まりによるもの。人間でも鼻が詰まると呼吸がしづらいなどの不快感を覚えますが、猫にとっての鼻詰まりはもう少しつらいもののようです。
猫は自分で鼻をかめないため、鼻詰まりや鼻水に対してなすすべがありません。加えて、くしゃみや涙にも悩まされ、顔中がぐしゃぐしゃになってしまう場合も。鼻詰まりは隠れた病気のサインの可能性があるので、放置せずに獣医師に相談する必要があります。
中には寝ている時に「プープー」「ピーピー」といういびきをする猫がいます。音の大きい寝息程度なら問題はありませんが、寝ると毎回いびきをかく、いびきが異様に大きい、起きている時でもいびきのようなノイズを発する、といった時は、慢性的な鼻詰まりの可能性があります。こちらも獣医師に相談を。
猫の鼻詰まりの原因と対処法
小さくてかわいらしい猫の鼻ですが、人間の1〜10万倍もの嗅覚を備えるとても大切な器官です。その鼻が詰まってしまう原因は一体何なのでしょうか。そして、飼い主さんが取るべき対応とは?
アレルギー性鼻炎
人間と同じく、猫にもアレルギー物質によって引き起こされる鼻炎があります。長期間にわたって、あるいは季節的に鼻水やくしゃみが続く場合は、動物病院でアレルギー検査をするのも一つの手でしょう。
アレルギー性鼻炎自体を完治させることは難しいので(これも人間と同様ですね)、検査でアレルゲンが特定できたら、可能な限りアレルゲンを除去し、症状に合わせた投薬や食餌療法などを行います。
猫風邪
鼻水や鼻詰まり、くしゃみ、発熱などの症状を引き起こす病気をいわゆる猫風邪と呼びますが、正式には上部気道感染症という病気です。「風邪」は症状が人間の風邪に似ているために付けられた通称に過ぎず、人間にはうつりません。
猫風邪は、ウイルスが原因となる猫カリシウイルス感染症と猫ウイルス性鼻気管炎、細菌が原因のクラミジア感染症という、3種類。クラミジア感染症以外には有効な薬がないため、体力や免疫力を高めるインターフェロンや二次感染を防ぐ抗生剤などを投与して回復するのを待ちます。
症状が軽い場合は1〜2週間で治癒しますが、重症化すると治るまでに数か月かかることも。また、猫ウイルス性鼻気管炎の原因となるヘルペスウイルスは症状が落ち着いた後も猫の体内に潜伏し続けるので、体力や免疫力が落ちた時などに再発することもあり、注意が必要です。
最良の手段は感染する前に予防すること。いずれの病気もワクチンで予防できるので、まずは獣医師に相談してみましょう。
副鼻腔炎
鼻炎が長引くことで炎症が副鼻腔まで広がった状態。鼻から額にかけて腫れて痛むので、猫は顔に触られることを嫌がるようになります。症状としては鼻水や鼻詰まり、くしゃみ、発熱、口呼吸、食欲低下などが見られます。悪化すると他の感染症に罹患するリスクも高まるので、すぐに動物病院へ連れて行ってください。
クリプトコッカス症
クリプトコッカスという真菌に感染することで起こる病気で、主にハトの糞によって媒介されます。この病気になった猫は大きないびきをかいたり、鼻の周囲にしこりができたりしてきます。
感染はまれですが、悪化すると皮膚から膿が出たり失明したりする恐れもあるので、異変を感じたらまずは獣医師に相談してください。
まとめ
猫も人間と同じく、急に気温が変化した時や異物が鼻に入った時などには生理的にくしゃみをして、その後に鼻水を出すことがあります。また、中には普段からやや鼻炎気味の猫もいるので、一時的な鼻水・鼻詰まりはそれほど心配することはありません。
しかし、明らかにいつもと様子が違う、症状が長引いているといった場合は上に挙げたような病気の可能性もあるので、まずは動物病院を受診してみてください。病院に行った方がいいかなと迷った場合は、webで獣医師の意見を聞けるサービスがありますので、利用してみることをオススメします。
また、ウイルスによる感染症は体力や免疫力が落ちた時に発症のリスクが高まります。普段から猫のストレスを取り除き、心地よく過ごせる環境作りをすることも有効な予防手段です。