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愛猫が見当たらないと思ったら、え?そこ?と思うような隙間や場所に入っていることがありますよね。すっかりその場所が気に入ったようすで、落ち着いてウトウトしていることもあれば、警戒モードになっていることもあります。猫は、なぜ狭い隙間を好むのでしょうか?

■ 猫が狭い空間を好むのは、祖先から続く本能的な行動?

猫の祖先である野生のリビアヤマネコにとって、身をひそめる行動は、外的から身を守る上で、とても大切な行動でした。敵に見つからないように休んだり、ケガをしてしまった体の回復を待つための休息をしていたのです。この本能的な行動が、現代の猫が狭い隙間を好む行動につながったと言われており、狩猟生活をしていた頃からの記憶として、猫の習慣になったとされています。

突然の来客や恐怖を感じた時に、暗闇の中で、ひっそりとこちらを見つめていることもあります。また、何か気に入った物や獲物を見つめていることもあるようです。獲物をしとめる瞬間をじっと待つ場所としても、獲物を運ぶ場所としても、実は、狭い隙間や薄暗い場所はとても大切なのです。大好きなおもちゃをそっと隙間に向かって投げてみると、目を開いて狙い、その場所まで運んでいくのは、猫の本能的な行動なのです。

■ 猫の体の仕組みがあるからこそ

猫は、ある程度の狭さがあるほうが安心できる、落ち着くともいわれています。それは、猫の体の仕組みも関係しているそう。猫の体の特徴として、鎖骨が無いということは、小さな場所に入るために柔軟な動きができるためで、狭いところであっても、柔軟な体があるからこそ、体をひそめ、落ちつく場所を見つけられるのです。飼い主さんであっても、猫が隠れてしまうとなかなか見つけられない場合もありますね。しかし、猫は目はしっかり開いていますし、耳もこちらを向いています。落ちつく場所であっても、猫はこちらをうかがっているのです。

どんなに狭いところに隠れていても、顔だけがこちらを向いている場合、それは猫が防衛本能もしっかり働いている証拠です。何かにおびえていたり、心配なことがあったり…場合によっては、体調が悪いことも考えられます。そっと猫の様子を観察してあげるようにしましょう。

■ 猫の隠れ場所、隙間を作ってあげること

狭い場所を好むのは、猫の本能ゆえの行動です。だからこそ、隠れることのできる隙間を作るのは、大切なことともいえます。新しい紙袋や段ボールが大好きという猫もとても多いものです。ただし、思わぬ場所に入ってしまい、「出てこれない!」なんてことがないように、お部屋の環境を整えてあげるようにしましょう。普段から、猫用のキャリーバッグを用意しておくと、ベッド代わりにするなど、落ち着く場所として活用できます。薄暗くて小さな隙間が好きな猫のために、体にぴったりサイズのキャリーバッグやケージを用意してあげるようにしましょう。ケージを活用することができれば、動物病院受診や災害が起きたときにも役立ちます。そのまま避難や移動をする際に、ストレスを軽減させてあげることもできますので、子猫の頃からケージを習慣にしてあげるとよいでしょう。

■ まとめ

猫が暗い場所や隙間を好む理由は、猫の本能的な行動に由来しています。また、猫特有の体の作りも要因となっていますので、普段から猫の落ち着く場所を用意してあげるとよいでしょう。一方、猫が隙間に入ってしまって、思わぬ事故につながる危険性もありますので、入ってほしくない場所にはしっかり対策しておくことも必要です。例えば、電源コードの多い場所や小さなゴミが溜まっている場所。コードを噛み切ってしまい感電する恐れもあれば、小さなゴミを誤飲してしまう可能性もあります。狭い場所から出てきたときに、明らかに様子がいつもと違う場合は、何か誤飲や怪我の可能性が否定できませんので、獣医師さんに相談するようにしましょう。