■ 犬猫の年齢を人の年齢に換算して考えよう
犬や猫は人よりも早く年をとってしまうのは皆さんご存知だと思います。
年齢換算については色々な計算方法がありますが、一番シンプルなものが、1歳の時に人では20歳になり、それ以降は1年ごとに4歳ずつ年をとるというもの。
つまり、10歳の子であれば、
20+4×9で56歳となります。
2015年の日本ペットフード協会による発表では、小型犬の平均寿命は14.85歳、猫は15.7歳でした。
一般的に平均寿命の約7割になった時にシニア期に入ったといわれますので、犬猫それぞれ10.3歳、10.9歳となります。
ただし、これはあくまでも年齢上の問題であり、人でも90歳で病気一つなくとてもお元気な方もいます。このことからも、年齢による老化の判断より、身体的な判断が犬猫にとっては最も重要と考えられます。
■ 老化の発見は愛犬、愛猫をよく見ることから
身体的な老化に早めに気づくためには、若い頃の体の状態や行動をきちんと観察していることが大切です。
【見た目で気づく事】
□ 1 、白髪がふえてくる
□ 2 、目が白くなってきた
□ 3 、目やにが増えてきた
□ 4 、立っているときに頭の位置が低くなった
□ 5 、腰の位置が低くなった
□ 6 、いつもと同じ量を食べているのに太った・痩せた
□ 7 、お尻の形が丸くなくなった
□ 8 、毛ツヤがなくなった
【行動で気づく事】
□ 9 、あまり遊ばなくなった
□ 10、寝ている時間が増えた
□ 11、走ることが減った
□ 12、帰宅してもお迎えに来なくなった
□ 13、雷などの音を怖がらなくなった
□ 14、あまり吠えなくなった
□ 15、吠える時の声が大きくなった
□ 16、階段の上り下りをしたがらなくなった
□ 17、立ち上がるのに時間がかかるようになった
□ 18、ものにぶつかることがある
□ 19、いつもいた台の上にいなくなった(猫)
□ 20、高いところに登らなくなった(猫)
これらのチェック項目に3個以上チェックが入ったらシニア期の始まり、8個以上チェックが入ったら、快適に暮らすための工夫をしてあげましょう。
■ 生活環境を整えてシニアでも快適に
上のチェックを行ってシニア期の始まりとわかったら少しずつ生活環境を整えて、快適に暮らせる工夫をしてあげましょう。
2,16,18,19,20にチェックがついた子は視力の低下が考えられます。階段を登らないようにゲートを付けたり、犬の場合にはお散歩の際に足元に気を付け、明るい時間に行くなどの対応を。
12,13,14,15にチェックがついた子は聴力の低下が考えられ、家族が近くにいることに気づかず、必要以上に驚いたりしてしまう事も・・・。動物たちは音の中でも金属音は聞き取りやすい周波数の音なので、近づく際に鈴などを鳴らすと、防ぐことができます。
6の体重の変化は家で定期的に体重を測定してあげることで早期発見ができます。シニアになり寝る時間が増えると同じ食事量でも体重が増え、さらに老化が進み、消化吸収力が低下すると同じ食事量でも体重が減ってきます。
4,5,7,11,16,17,19,20では筋肉量の低下が考えられます。ケガの可能性がある場合にはもちろん補助が必要ですが、無理のない範囲で運動する時間を少し増やして、筋肉量を維持したいですね。
ここに挙げたチェックリストは老化で見られる症状ですが、同時に病気の時に見られる症状でもあります。
今までと違うな・・・と気づいたらまずは動物病院へ行き、病気ではないことを確認してから、快適に暮らせるための対応をしてあげてください。
日本大学獣医学科卒。動物病院に勤務後、飼い主様にもっと近い存在の獣医師になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーに、アニマルライフパートナー設立。
病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリングなど活動は多岐にわたる。
また、一般社団法人女性獣医師ネットワークの理事を務め、家庭と獣医師業を両立する女性の活躍をめざし活動中。
アニマルライフパートナー http://www.animallifepartner.com