主な症状
網膜変性症には遺伝性や後天性などの原因の種類によって症状の程度や進行は異なってきますが、初期に飼い主が気づくことは困難で、視覚喪失が進行した状態で発見されることが多く見られます。主な症状は、様々な程度の視覚障害です。網膜の変異が進むにつれて、夜間にものが見えにくい様子を示したり、動くものを目で追い切れず、おもちゃでうまく遊べなかったり、急に触れようとするとびっくりしたり、おびえる、といった症状が見られます。また、視力低下に伴って明るい場所でも瞳孔が開いた状態になる、瞳孔が大きく開くため目の奥に存在する輝盤がよく見えるようになり目が光って見えるといった状態になります。。病態が進行し、失明した場合には、壁際や家具に沿って歩くようになったり、物陰にうずくまったりと活動性が低下します。別の目の病気や全身性の病気、薬剤による中毒などが原因で網膜の変性が引き起こされる場合は、散瞳や眼振、目の充血、流涙などが見られることもあります。
予防方法
普段から栄養バランスの良い食事を心がけ、良質なキャットフードを与えるようにしましょう。また、ほかの目の病気や腎不全から網膜に異常が生じることもあるため、定期的な健康診断を受け、病気の早期発見・早期治療を心がけるようにしてください。
原因
網膜変性症は、主に遺伝性や栄養性で起こることがあります。また、ほかの目の病気から二次的に網膜の変性が引き起こされる場合も考えられます。最も代表的な原因は遺伝性であり、これは進行性網膜萎縮症(PRA)とも呼ばれていて、網膜が進行性に萎縮し、数カ月齢ごろから視覚障害の症状が見られるようになり、2歳から4歳ごろには完全に失明してしまいます。一方、栄養不足が原因で起こる網膜変性症は、猫の必須アミノ酸であるタウリンが十分に含まれていないフードを長期にわたって給餌することが原因ですが、現在は市販フードの品質が向上していることから、この原因はめったに見られなくなりました。このほか、網膜の機能に影響を与えるような、緑内障や脈絡網膜炎といったほかの目の病気、腎不全による全身性高血圧、薬剤による中毒が原因で網膜の変性が引き起こされることがあります。
治療方法
遺伝性の進行性網膜萎縮症は、進行を抑えることはできず、治療法もありません。タウリン欠乏による網膜変性症の場合は、タウリンが十分に含まれた良質なキャットフードを投与することで、その進行を抑えることはできますが、回復させることはできません。そのほかの病気から二次的に引き起こされた網膜変性の場合は、その病気の治療を行うことで網膜変性症の進行を抑えることが可能な場合もあります。ただ、いずれの場合もいったん変性してしまった網膜自体を元に戻す有効な治療方法はありません。