主な症状

一般的な症状としては、軽い咳や呼吸困難などの慢性の呼吸器症状がみられます。そのため、猫のフィラリア症は犬糸状虫随伴呼吸器疾患(HARD)とも呼ばれています。そのほか、食事のタイミングとは無関係の嘔吐、下痢がみられることもあります。食欲低下や嗜眠、体重の減少といった症状が現れる猫もいますが、目立った症状を示さない猫もいます。進行すると、突然死を招く危険性もあります。

予防方法

室内飼育においても、猫のフィラリア感染のリスクは室外飼育と同等と言われており、完全な室内飼育であっても安全ではありません。犬と同様、幼虫を駆除する効果のあるフィラリア予防薬を、毎月、定期的に投与することが確実な予防方法となります。

原因

フィラリア(犬糸状虫)という内部寄生虫の感染が原因で発症します。フィラリアは犬糸条虫とも呼ばれる、体調12~13cmの細長い寄生虫です。フィラリアに感染している犬を蚊が吸血すると、犬の血液中のフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が蚊の体内に取り込まれます。その蚊が猫を吸血するときに、ミクロフィラリアが猫の皮下に侵入し、皮下組織や筋肉の中で2~3ヶ月かけて成長します。そして、血管内に侵入して血流に乗り、心臓から、最終的には心臓や肺動脈に到達します。そこでさらに成長を続け、犬では多くのミクロフィラリアが3~4ヵ月後に成虫になりますが、猫では肺動脈に到達した直後に未成熟虫の多くは成虫になる前に死亡し、死滅した虫体により炎症が引き起こされます。一部の猫では、少数(1~3隻)の未成熟虫が成虫になり、この成虫が2~4年間生存します。

治療方法

フィラリアの成虫自体を駆虫する治療方法として、成虫駆虫薬の投与や外科的治療法は危険が伴うため、猫ではあまり行われません。そのため、猫の場合には、フィラリアによる炎症や咳などの症状を抑えるための対症療法が中心となり、ステロイド剤や気管支拡張剤などの投与を行います。最近の調査では10匹に1匹の猫がフィラリアに感染しているとの報告もあるため、飼育環境の室内外を問わず、予防薬を使った確実な方法で予防することが必要となってきています。

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