主な症状
まれに粘液状の軟便や下痢が見られるだけで、とくに症状はありません。このため飼い猫の発症に気づくことは大変難しいです。また、最近まで、猫の小腸内ではエキノコックスがあまり成長せず、エキノコックスが虫卵を産むことはまれであると言われていました。しかし、飼い猫の便からエキノコックスの卵が見つかった事例から、猫から人に感染する可能性が指摘されています。人間がエキノコックス症に感染しているケースでは、そのほとんどが北海道ですが、埼玉県や愛知県の犬の糞便からも虫卵が見つかっているため、注意が必要です。
予防方法
ネズミなどを介して感染するので、エキノコックスが流行している地域では、猫を外で放し飼いをしないことが重要です。また、飼い猫を外に出している場合は、定期的に糞便検査を行うことが大切です。人への感染を予防するため、特に北海道ではキタキツネとの接触を避け、生水を飲まない、山菜や野菜などをそのまま食べないなどの注意が必要です。
原因
エキノコックス症は、エキノコックスと呼ばれる寄生虫に感染して起こる病気です。エキノコックスがすでに寄生しているネズミなどを猫が捕食すると、その猫にエキノコックスが感染し、猫の体内で成虫になります。しかし、猫がエキノコックスの虫卵をそのまま食べてしまっても、猫の体内では幼虫に孵化することができず、エキノコックス症にはなりません。
治療方法
プラジクアンテルという薬剤が含まれた駆除薬を投与することにより、エキノコックスの成虫はほぼ100%駆虫できます。