主な症状

おもな症状は多飲多尿で、初期の段階ではこれ以外に目立った症状はありません。しかし、腎臓の機能が次第に低下してくると、多尿にもかかわらず、老廃物や余分な電解質、リンなどのミネラル類を尿中に排泄することができず、体内にたまってきます。また、水をたくさん飲んでも多尿によって失った水分を補うことができず、脱水を引き起こしてしまいます。これによって食欲や元気が低下し、毛づやもなくなってきます。また、嘔吐や下痢、便秘も見られるようになり、体重も減少してきます。腎臓は尿を作るだけでなく、血圧の調節や赤血球を産生するホルモンを作る役割もあるため、慢性腎不全が進行してくると、高血圧や貧血に陥り、高血圧にともなう眼の症状や貧血にともなう諸症状が現れてくることがあります。慢性腎不全の末期になると、老廃物の蓄積やミネラル・電解質の異常、貧血などが重度となり、乏尿・無尿が進み尿毒症が起こり痙攣や昏睡状態に陥ることがあります。

予防方法

慢性腎不全は、ほかの病気から引き起こされることがあるため、定期的なワクチン接種や室内飼育の徹底、飼育環境などを整え、原因となる病気をしっかりと予防することが大切です。また、タンパク質やナトリウムがたくさん含まれている食事を与え続けないよう栄養バランスの良い適切な飼育・管理が大切になります。

原因

猫の慢性腎不全の原因としては、主に基礎疾患で、あらかじめ保有している何らかの病気によって腎不全が引き起こされることがあり、具体的には水腎症、糖尿病、間質性腎炎、腎硬化症、多発性嚢胞腎などです。また遺伝性のものも考えられますが、犬や人間に比べてなぜ猫に腎不全が多いのかは解明されていません。一説では、1つの腎臓に含まれるネフロンの総数が他の動物に比べて少ないのが一因と言われています。

治療方法

慢性腎不全は、急性腎不全と違い徐々に進行していく病気で、一度発症すれば治ることはありません。慢性腎不全の治療は、その進行をできるだけ抑え、症状を緩和することが目的となり、おもに内科的治療と食事療法が行われます。内科的治療では、皮下あるいは静脈内点滴で脱水や電解質のバランスを補正します。また、降圧剤や高リン血症治療剤、胃粘膜保護剤、制吐剤、活性炭、造血ホルモンであるエリスロポエチンの投与などが症状に応じて行われます。食事療法には、タンパク質やリン、ナトリウムなどが病態に応じて制限されている処方食が用いられます。現在では、活性炭が既に配合されている処方食も動物病院で販売されています。

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